神戸戦で露呈した「明確な課題」とは

　こうした現状を踏まえて、チームとしての現在地をどう捉えるべきなのか。

　それを測る上で、直近のリーグ戦で対戦した横浜F・マリノスとヴィッセル神戸との連戦は絶好のサンプルとなった。結果は敵地での2連戦を1勝1分。首位を争うクラブと渡り合うだけの力があることを示したと言えるだろう。

　選手たちの成長や変化について、鬼木監督も確かな評価を与えている。

「若い選手も新加入選手も、着実に力をつけていると思います。とくに新加入選手は日を増すごとに、自分たちが目指しているもの、それにプラスして本人が持っているものを出してくれています。ここから怪我人が戻って競争が始まる中でも、ぶれることなく続けて欲しいです」

　横浜FM戦ではGK上福元直人が好セーブでクリーンシートを支え、瀬川祐輔と大南拓磨のコンビネーションから劇的な決勝弾を生み出すなど、新加入選手もビッグマッチで貴重な仕事をしている。技術的・戦術的なハードルの高さから「川崎は新加入選手のフィットに時間がかかる」と言われがちだが、彼ら3人は自身の強みをチームに還元しており、シーズン後半に欠かせぬ戦力であることを示した。

上福元直人はチョン・ソンリョンとハイレベルな正GK争いを演じている　©Hiroki Watanabe/Getty Images

　一方で、明確な課題もある。

「勝ち続けるチーム」として、まだ成熟していないことだ。直近のヴィッセル神戸戦では前半に2点を先行しながらも、後半の連続失点で追いつかれてしまう脆さを露呈してしまった。

　試合後、先制点を記録した脇坂泰斗は引き分けに終わった悔しさを絞り出していた。バンディエラ・中村憲剛の背番号14を背負って2年目。キャプテンマークを巻く機会も増えており、勝敗を背負う立場になり始めた彼は、チームとして隙を見せてしまったことを強く悔やんだ。

「今日は勝てたと思います。浦和戦、名古屋戦も、自分たちが自信を持ってやれず勝ち点を落としたと思っています。でもアウェイで負けなかったところと、あの雰囲気で耐えられたというところは次に繋げていく必要がある。あそこで跳ね返していく力がないと上には行けないな、というのはみんな分かっていると思います」

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