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新生・ドイツ代表は何が変わった? 再起のベルギー戦「過去最低の出来」もファンが示したのは、ブーイングではなかった<監督は続投>
posted2023/04/11 09:00
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph by
JIJI PRESS
ドイツ代表がカタールワールドカップで2大会連続となるグループリーグ敗退した時、ドイツサッカーファンの多くが感じたのは失望でもなく、絶望でもなく、虚無感だったのかもしれない。問題視されていた守備の不安定さを克服することができないまま大会に臨み、ある意味予想通りの形で失点を重ねて敗れていったのだから。
今も、失望の思いは私の中に深く刻み込まれている
代表監督を続投することになったハンジ・フリックはそんな空気感を払拭し、ファンが応援したいと思える代表チーム作りに着手することが至上命題となっている。24年にはドイツで開催される欧州選手権があり、流石に地元開催の大会で、無様な姿を見せるわけにはいかない。
フリック「大会が終わった後しばらくした今も、失望の思いは私の中に深く刻み込まれている」
テレビのインタビューでカタールW杯をそう振り返っていたフリックだが、ではどのようなチーム作りをここから進めていくつもりなのだろう。一つのヒントとなったのが、3月シリーズでの代表構成で見られた。カタールW杯までドイツ代表ではスキルレベルや戦術理解が選手選考基準の最上位にあった。「どうやって自分達でチャンスを作り出すか」から逆算されたシステムとメンバー構成。それが強みではあった。カタールでも、ドイツの生命線だったチャンスメイクのレベルは非常に高いものがあった。日本代表との試合でも、前半の間に3~4点取れていても不思議ではないくらいチャンスの質と量はあった。ただ結果は1得点止まり。どれだけチャンスを作り出そうとも、ゴールを決められなければサッカーでは優位には立てない。
“不器用”FWフュルクルクをフリックは選んだ
23年代表初戦となったペルー戦で見せた布陣は違った。「どうやって守備バランスを損なうことなく、ゴールを決めるのか」が先にあった。ドイツサッカー界において現在最も得点力が高いCFタイプのニクラス・フュルクルクがいい形でシュートにいける局面を増やすための布陣を考えようとしている。