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新生・ドイツ代表は何が変わった? 再起のベルギー戦「過去最低の出来」もファンが示したのは、ブーイングではなかった<監督は続投> 

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中野吉之伴

中野吉之伴Kichinosuke Nakano

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photograph byJIJI PRESS

posted2023/04/11 09:00

新生・ドイツ代表は何が変わった? 再起のベルギー戦「過去最低の出来」もファンが示したのは、ブーイングではなかった<監督は続投><Number Web> photograph by JIJI PRESS

3月下旬、ペルー戦は勝利も、真価が試される再起戦シリーズ2戦目としてベルギーに2-3で敗れたドイツ。W杯時から続投のフリック監督が語ったのは…

 正直フュルクルクという選手は器用ではない。ダイレクトでパスをしようとすると結構な頻度でミスをする。自分達でボールを回しているときのポジショニングやフリーランではおぼつかない動きになってしまうことも少なくない。でもそれ以上に《得点力》というメリットをフリックは選んだ。フュルクルクが孤立しないように、スピードのあるティモ・ベルナーとの2トップを採用し、その期待に応えるようにペルー、ベルギーとの2連戦でフュルクルクは3得点をマーク。一定の手ごたえをつかんだ。

エムレ・ジャンのボランチ起用

 また、いちばん大きな変化は守備ラインの前に守備的なボランチが起用されたことだろう。指名されたのはドルトムントでも好調のエムレ・ジャンだ。この位置ではオフェンシブな選手を組み合わせることが多かったが、フィジカル能力が高く、汚れ仕事を嫌がらず、単独でボール奪取することができ、なおかつゲームメイクでも力を発揮できるジャンは貴重な存在として期待されている。

 日本代表に敗れたことが致命的なダメージとなったカタールW杯で、フリックは結果として多くのことを学んだようだ。「自分達の守備は平均レベルだった」というニュアンスのコメントを残しているが、自分達の現在地をより明確に分析し、明らかな弱点を解消するための手を考え、その中で自分達の強みを出すためのバランスを見出そうとしている。

大事な試金石、ベルギー戦

 ペルーに2-0で快勝した後のFIFAランキング4位のベルギー戦は、新生ドイツとして自分達がどこまでできるのかを測る大事な試金石となるべき試合だった。

 フリック「ベルギーは新しい監督とともに、新しいスピリットを持っている。素晴らしい選手がそろっている国だ。コンパクトに守り、ボールをもってのレベルも高い。両サイドには1対1で突破力を誇る選手がいる。世界最高の国の一つ。自分達の立ち位置を測る非常にいい対戦相手だ」

0-2とされて当たり前のパフォーマンスだ!

 だが、現実は厳しい。再び手痛い授業料を支払うことになった。特に前半30分までは自分達がやりたいことが何一つ上手くいかずに早々に2失点。この時間帯にさらに多くの失点をしてもおかしくないほどボロボロにされる始末。テレビ解説を務めた元ドイツ代表キャプテンで代表歴150試合のローター・マテウスは、あまりの惨劇に怒りのコメントを残している。

【次ページ】 これまでなら、罵声に包み込まれた。でも…

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ハンシィ・フリック
ニクラス・フュルクルク
ティモ・べルナー
エムレ・ジャン

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