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人種差別を乗り越えたタイガー・ウッズ、乳がんの妻に捧げたミケルソン、松山英樹とキャディの絆…マスターズ名勝負のウラにある“愛の物語”とは?
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舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byReuters/AFLO
posted2023/04/06 11:00
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松山英樹がアジア人で初めて制覇したマスターズはもう2年前の話。日本時間4月6日夜に開幕する今大会ではどんな物語が生まれるか
2021年マスターズは松山英樹がマスターズ初優勝、メジャー初優勝を成し遂げた記念すべき大会となった。日本人初、アジア人初のマスターズ制覇に、日本もアジアも沸き返った。
最終日は出だしの1番から最終18番まで身も心も震えるような場面が見られたが、勝利を決めた松山の達成感と満足感、そして安堵に溢れた表情は、世界中のゴルフファンの共感を呼び、早藤キャディのお辞儀シーンも大きな話題になった。
そして昨年大会は、春先からツアー3勝を挙げて急上昇中だったスコッティ・シェフラーがマスターズ初制覇を成し遂げたのだが、優勝会見で彼自身が明かした秘話が人々を驚かせた。
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最終日を単独首位で迎える緊張とプレッシャーにさいなまれたシェフラーは、土曜日の夜には胃が委縮して嘔吐した。最終日の朝は愛妻の腕に抱かれながら「僕には、まだマスターズで勝つ準備なんて、できていないんだ」と言って赤ん坊のように泣いた。
そんなシェフラーが愛妻メレディスの説得と励ましのおかげでサンデー・アフタヌーンを戦い抜き、勝利したというストーリーは、ゴルフがいかにメンタルなスポーツであるかを私たちに教えてくれたのではないだろうか。
ウッズ&ミケルソン時代を経て、近年のマスターズではジョンソン、松山、シェフラーと新時代のチャンピオンたちが生まれつつあるが、どの大会においても、勝者の支えになっていたものは、家族や大切な誰かとの間に育まれていた「愛」だった。そう、忘れがたき名場面には必ず、勝者と家族、あるいは相棒キャディとの親愛があった。
奇跡のような一打が勝敗を決したこともあったが、その一打が生み出された背景には、その選手を支え、励まし続けてきた大きな「愛」が、そこに溢れていた。
リブ出現で揺れるゴルフ界
昨年6月にリブゴルフが創設されて以来、世界のゴルフ界はPGAツアーとリブゴルフの対立によって分断され、大揺れを続けている。それは、ゴルフ界が迎えている新時代でもあり、今年のマスターズは、そうした確執がある中で両者がともに戦う初めてのマスターズとなる。
多少の混乱も懸念され、ギスギスした空気が漂うことも予想されている。しかし、だからこそ、すべての選手が温かい「愛」を感じながら戦ってくれることを願わずにはいられない。
そして、今年もきっと「愛」に支えられた選手が勝利を掴み取り、グリーンジャケットを羽織る。シェフラーの連覇なるか、松山の2勝目なるか、それとも若い選手による初優勝なるか。
その背景に必ずや存在する「愛の物語」が、今から楽しみでならない。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。
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