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「今年は2000億円を超えるかも」“破格の賞金”でゴルフ界を揺るがすリブゴルフが2年目突入へ〈王道PGAツアーとの争いに変化は?〉
posted2023/02/21 06:00
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph by
Getty Images
先週のゴルフ界はタイガー・ウッズの7カ月ぶりの公式戦出場となったPGAツアーのジェネシス招待(2月16日~19日)の話題で持ち切りになった。
そして今週は、PGAツアーとの対立を深めているリブゴルフ(LIV Golf)の2023年初戦が2月24日から26日の3日間、メキシコのマヤコバで開催されようとしている。戦いの舞台となるのは、昨年までPGAツアーの大会が開催されていたエル・カマレオンGCだ。そんな試合会場の選定の仕方を見ても、まるでリブゴルフがPGAツアーにケンカを売っているような印象を受ける。
果たして、そのリブゴルフ初戦の話題も、ゴルフ界で「持ち切り状態」になるのかどうかが、とても気になる。
法廷闘争に発展したPGAツアーとの対立
サウジアラビアの政府系ファンド、PIF(パブリック・インベストメント・ファンド)の支援を受け、昨年6月に創設されたリブゴルフは、グレッグ・ノーマンCEOの指揮の下、昨年は年間8試合を賑やかすぎるほど賑やかに開催した。
PGAツアーのジェイ・モナハン会長は、リブゴルフが創設される以前から警戒心と不快感を強め、「リブゴルフに1試合でも出たら、即座に資格停止にする。永久追放もありうる」というフレーズを何度も口にしていた。
そんな「制裁」が待ち受けているのならリブゴルフには誰も参加しないだろうと当初は見られていた。
しかし、リブゴルフが世界のトッププレーヤーたちにオファーした破格の契約金や超高額賞金の魅力は想像以上だったようで、フィル・ミケルソンを筆頭にダスティン・ジョンソン、ブルックス・ケプカ、セルジオ・ガルシア、ブライソン・デシャンボー、キャメロン・スミスといったメジャー・チャンピオンたちが次々にPGAツアーに背を向け、リブゴルフへ移籍した。
スター選手を奪われたPGAツアーが不快感を露わにしたことは言うまでもない。しかし、かねてからPGAツアーとさまざまな事柄で揉めてきたノーマンは、モナハン会長らの怒りをさらに煽るかのように、PGAツアーを反トラスト法(独占禁止法)違反で提訴。リブゴルフとPGAツアーの対立は法廷闘争へと発展してしまっている。
そんな中、PGAツアーはマネー・パワーをひけらかすリブゴルフへの対抗策として、こちらもマネー・パワーで従来の大会をゴージャスな大会に格上げする大改革を敢行。今季からは賞金総額2000万ドル級の「格上げ大会」やメジャー4大会など年間20試合への出場をトッププレーヤーに義務付けている。
ウッズ出場で沸いたジェネシス招待も「格上げ大会」の1つだったが、そうやってPGAツアーがウッズ・フィーバーに沸き返っていた間も、リブゴルフはSNSに盛んに登場し、2年目のシーズン開幕のアピールとウォーミングアップに余念がなかった。