水沼貴史のNice Middle!BACK NUMBER
三笘薫のドリブルに6万人が「スゲェ〜!」でも「シュート4本は寂しい」森保ジャパン再発進…アピール成功は西村拓真と菅原由勢〈水沼チェック〉
text by
水沼貴史Takashi Mizunuma
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2023/03/27 11:04
6万人の大観衆を魅了した三笘薫。水沼氏は「プレー選択の判断がより洗練されている」と評価した
得点シーンのようなゴール前やスペースに飛び込んでいけるのが最大の特徴で、シュート技術も高い。守備への切り替えも素早く、相手へのプレスも惜しまない。そのプレースタイルは走行距離にハッキリと現れています。Jリーグでフル出場した際に「14キロ」(平均の選手なら10キロ程度)というデータがあるほど、試合中はほぼ止まっていません。それでいて性格は天然で、みんなにツッコまれるタイプ。だから「考えて動く」というよりは、チャンスやピンチに反応できる嗅覚のようなものが優れているんでしょうね(笑)。最近は「賢く走る」ことも意識していたので、これからもっと洗練されていくでしょう。
ゴールシーンでは西村の前で“つぶれ役”になった上田綺世(24歳)の動きも褒めたいです。上田がつぶれて、西村が飛び込む。そういうコンビネーションを見せられると、監督としても起用法をイメージしやすい。西村のような選手は今の代表にいないので今後は面白い存在になっていくでしょう。
「2本のパス」で違いを見せつけた菅原由勢
右サイドバックとして先発した菅原由勢(22歳)も良いアピールができたのではないでしょうか。守備面でのフィジカルではまだ酒井宏樹(32歳)に敵わないかもしれないですが、決定機をつくった2本の縦パスで“違い”を見せつけました。
特に西村のゴールの起点となった伊東純也(30歳)へのパスは絶妙でしたね。タッチライン際をなめるようなパス。インフロント(親指の付け根あたり)で外から巻くように蹴る技術は、実はとても難しいんです。
シュートはわずかに外れましたが、前半のFW浅野拓磨(28歳)へのスルーパスも、GKが触れない、相手DFが届かないギリギリのスペースを突いていました。堂安との細かいパス交換もできるし、中央に入っていくこともできる。ウルグアイ戦のようなパフォーマンスが続けば序列を上げていくはずです。