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「大丈夫、いつか終わる」大病から5年…池江璃花子が明かす“闘病からの復活”「一人で昔の映像を見て、涙が止まらなくなったことも…」

posted2024/07/27 11:03

 
「大丈夫、いつか終わる」大病から5年…池江璃花子が明かす“闘病からの復活”「一人で昔の映像を見て、涙が止まらなくなったことも…」<Number Web> photograph by Asami Enomoto

白血病の公表から5年ーー再びプールに戻るまでの過程を綴った著書『もう一度、泳ぐ。』を刊行した池江璃花子

text by

池江璃花子

池江璃花子Rikako Ikee

PROFILE

photograph by

Asami Enomoto

 白血病と診断されてから5年ーー「退院して泳ぎ始めた時には絶望しかなかった」という池江璃花子は、いかにして暗闇を抜け出し大舞台に戻ってきたのか。もう一度強くなる過程を池江本人が赤裸々に明かした著書『もう一度、泳ぐ。』(文藝春秋刊)より内容を抜粋して紹介します。<全2回の第1回/第2回へ>

まずは病気を克服して、乗り越えていこう

【2020年6月】

 2019年2月12日、白血病を公表した時、「さらに強くなった池江璃花子の姿を見せられるように頑張っていきたい」とメッセージを出しました。

 何があっても水泳を続けたいという覚悟があったからです。絶対にまた水泳をやってやるぞという気持ちで入院したので、そこで引退するという考えはありませんでした。これを乗り越えたら、また一段と強くなった自分が待っている。そう思って、とにかくまずはこの病気を克服して、乗り越えていこう。そういう気持ちでずっと過ごしていました。

 入院中私の中には、病気に負けたくないという思いがありました。体調が悪くてずっとトイレに籠もりきりのような時も、“大丈夫、いつか終わる”と、自分に言い聞かせて、負けてたまるかという気持ちで闘っていました。今までこんなに頑張ってきたのに、こんなところで自分の命をなくすなんて。今までの自分は何だったんだ、という後悔を絶対したくなかった。必死に耐えていました。

自分はここにいるべきだったのに、と思ったことも

 病気になったことは誰のせいでもないし、自分のせいでもありません。もちろん、なぜ自分が、と思って苦しんだことはありますが、考えていても仕方ない。入院中は、この1年、水泳ができていたら、どこまで記録が伸びていたのだろうとか、そういうことを考えた時期もありましたし、世界水泳をテレビで見て、自分はここにいるべきだったのに、と思ったこともあります。

 ベッドで自分の昔の速かった時の映像を一人で見て、涙が止まらなくなったこともありました。そのあとすぐ看護師さんが入ってきて、「璃花子ちゃん、どうして泣いているの?」と心配されました。「自分の昔の映像を見ていたら泣けてきちゃいました」と言ったら、看護師さんも映像を見て、「ああ、すごいね!」と褒めてくれて。それだけでもすごく嬉しかった。ああ、前はすごかったなぁと。今では完全に過去の栄光だったという気分で見ています。

 闘病中、つねにポジティブでいることはできませんでしたが、ネガティブなところから立ち直ってここまで気持ちを持ってこられたのは、自分自身の成長だと思っています。

406日ぶりにプールに入ると…

 2019年12月5日に退院しました。それからしばらくは、自宅で日常生活に必要な筋力を取り戻すためのトレーニングをしていました。

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