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地元・青森を愛する日本男子バドミントンのエース・奈良岡功大が独自の流儀で挑む初のオリンピック「金メダル? 獲れたらラッキーくらいに…」

posted2024/07/17 15:00

 
地元・青森を愛する日本男子バドミントンのエース・奈良岡功大が独自の流儀で挑む初のオリンピック「金メダル? 獲れたらラッキーくらいに…」<Number Web> photograph by AFLO

バドミントン日本男子シングルス初のメダル獲得も期待される23歳の奈良岡功大

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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いよいよ間近に迫ったパリ2024オリンピック。大会を楽しみたい方に、さまざまなオリジナルコンテンツをお届けします。今回は社会人になった今も生まれ故郷の青森を拠点に活動し、父と二人三脚でさらなる飛躍を誓う奈良岡功大の素顔に迫ります。

 無類のスタミナ、手首を巧みに使ったテクニカルなショット、そして、マイペースを貫けるメンタル。バドミントン男子シングルスでパリ2024の頂点を目指す奈良岡功大(6月25日付け世界ランキング6位)には、ユニークな個性がいくつもある。

 昨年8月、デンマーク・コペンハーゲンで行なわれた世界選手権。奈良岡は2度目の出場で見事に銀メダルを獲得した。男子シングルスの表彰台は桃田賢斗以来で史上2人目の快挙だった。

 同11月には上位ツアーの中国マスターズ(中国・深セン)で初優勝。1年半前に40位前後だった世界ランクは最高で2位まで上がった。

 周りは自然とパリ2024の金メダルを期待する。ところが、奈良岡の反応は意外にも“のれんに腕押し”だ。

「例えば『試合で勝ちたいですか?』と聞かれても『いや、別に』と言う。僕はこんなタイプなんです。『勝ちたいと言いなよ』とか『金メダル獲りたいっていう思いでやりなよ』と言われるんですけど、そうなっちゃうと自分じゃないんで。力が入っちゃって、自分らしいプレーができないと思うんですよ」

 ツレないように見せていて、その実はしっかりと自分を客観視できている。

「ラフな感じで行った方が結果も出るし、自分らしいプレーができる。そこは曲げずにやっています」

 軽やかな口調の奥に、深い内省から編み出した独自の流儀があるのだ。

「僕はずっと自分を信じていますね。他の意見ではなく、自分の考えを持ってぶれずにやっています。最初からずっとです」

 そんな風に言う。

桃田賢斗に続く次世代エース候補として注目を浴び続ける

 競技歴は華やかだ。青森県で生まれ、バドミントン選手だった父・浩さんの創設した「浪岡ジュニアバドミントンクラブ」で5歳からバドミントンを始めた。

 父の厳しい指導の下で負けん気と基礎を身につけ、小学4年生から中学3年生まで全国大会はすべて優勝。青森・浪岡高校1年生だった2017年には全日本総合選手権で史上最年少(16歳4カ月)の白星を飾った。翌年にはユースの世界大会で銅メダルを獲得。当時、世界ランキング1位で無敵を誇った桃田賢斗に続く次世代エース候補として注目を浴び続けてきた。

 ところが高校卒業の2020年3月からコロナ禍に突入し、順調に前進していた歩みに“待った”がかかった。

 東京2020の1年延期が決まっただけでなく、国際大会がことごとく中止になり、世界ランキングポイントを手にする機会が消失。日本B代表(当時)の奈良岡が日本A代表の選手のランキングを超えていく手段がなくなったのだ。

 パリ2024の男子シングルスの出場枠は各国最大2。出場権を獲得するためには、とにもかくにも2023年5月から2024年4月まで1年間にわたって開催される選考レースという土俵に上がらなければいけない。

 まだまだ先行きが不透明だった2022年6月。日本ランキングサーキットで初優勝を飾った際に、当時20歳の奈良岡が目標として語っていたのは「まずはA代表に入り、パリ2024の選考レースを回れるように頑張る」ということだった。

 それでも、ひとたび国際大会に出始めると、ランキングがみるみる上がっていった。2022年は男子の国別対抗「トマス杯」の代表として銅メダルを獲得したほか、ツアーで準優勝するなど世界の舞台で活躍するようになり、パリ2024挑戦のための下地をつくった。

 2023年はさらに成績を伸ばして世界ランキングトップ10入りをキープ。今年4月末のランキングでパリ2024の代表入りが内定した時には、「最初は勝てると思ってなかったのですが、ポンポン、ランキングが上がっていって、最高で2位まで行って、自分でもびっくりでした」と笑顔を見せていた。

 勝てるようになった理由はいたってシンプルだ。

【次ページ】 試合時間を短くするため、決め球を磨く

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