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「14歳」「現役高校生」「ハーバード大学院生」…スケートボード、スポーツクライミング、サーフィンのパリ2024日本代表で注目すべき逸材たち

posted2024/07/03 10:00

 
「14歳」「現役高校生」「ハーバード大学院生」…スケートボード、スポーツクライミング、サーフィンのパリ2024日本代表で注目すべき逸材たち<Number Web> photograph by AFLO

パリ2024代表に内定したスケートボード「ストリート」小野寺吟雲、スポーツクライミング・安楽宙斗、サーフィン・五十嵐カノア(写真左から)

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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いよいよ間近に迫ったパリ2024オリンピック。大会を楽しみたい方に、さまざまなオリジナルコンテンツをお届けします。今回は東京2020に続き追加競技となった「スケートボード」「スポーツクライミング」「サーフィン」の競技ルールから注目選手まで、初心者にも分かりやすくご紹介します。

スケートボード

 有名なコンコルド広場が会場となるスケートボードは、車輪が付いた板に乗ってジャンプや回転などのトリックを行ない、その完成度や難易度、種類の多様性、独創性などを評価する採点競技だ。「ストリート」と「パーク」の2種目があり、男女別に開催される。

「ストリート」は、街の中にある階段や斜面、手すりや縁石のような障害物などを模したコースで行なわれる。足裏を使って板を様々な方向に回転させながら行なうジャンプや、車軸を手すりに乗せてスライドするなど、細やかな技の応酬が見所だ。

 選手はコースを自由に滑走するランを2回と、難度の高いトリックを5回、それぞれ45秒間ずつ行ない、ランの最高得点とトリックの中で最も高い2つの得点が合計されて順位が決まる。

「パーク」は坂やお椀を組み合わせたような複雑な曲面のコースで行なわれる。スノーボードのハーフパイプのように傾斜を利用し、空中に勢いよく飛び出して行なうエアトリックは迫力満点だ。パークでは45秒間のランを3回行ない、最も高い点数で順位が決まる。

スケートボードの注目選手

「ストリート」は男女とも日本選手の層が厚い。

 男子の注目選手は12歳だった2022年11月に、日本選手権で初出場初優勝を飾った小野寺吟雲(おのでらぎんう)。5歳でスケートボードを始めて7年で日本一になると、続いて出場した2023年1月開幕の世界選手権では3位で表彰台に上がり、世界中のスケートボードファンから喝采を浴びた。ジャンプした後の空中で板を自在に回す技術は世界屈指。あどけなさの残る表情からは想像もつかないトリックを繰り出す。

 また、東京2020で初代金メダリストとなった堀米雄斗は勝負強さが健在で、連続金メダルの期待が懸かる。

 女子は東京2020で金メダルに輝いた西矢椛(にしやもみじ)が出場権を逃す波乱の中、同大会で銅メダルだった中山楓奈が2大会連続出場を決めた。初出場の14歳、吉沢恋(よしざわここ)、15歳の赤間凛音(あかまりず)といった若い選手は伸び盛りの勢いもあり、期待が膨らむ。

「パーク」は女子がアツイ。東京2020で金メダルに輝いた四十住さくらは安定感が抜群だ。昨年はケガがあったため思うような成績を残すことができなかったが、今年はしっかりと調子を上げてきた。板の操作がうまく、エアトリックはダイナミック。こちらもパリ2024では2大会連続優勝を目指す。

 東京2020銀メダルの開心那(ひらきここな)は、この3年間で22cmも身長が伸び、168cmになった。コース上部の縁をこすりながら滑走する「グラインド」のテクニックは唯一無二であり、背が伸びても健在。長い髪をなびかせて滑る姿は、彼女が小学生の頃からずっと口にしてきた「スタイルのあるスケーターになりたい」という目標通りでもある。背が伸びて大人びた表情も見られるようになったがまだ15歳。実力もさらに上がっているところだ。

スポーツクライミング

 ここ20年で世界中に人気を広げ、日本国内でも都市部を中心に数多くの施設が誕生しているスポーツクライミング。様々な形の「ホールド」と呼ばれる突起に素手と足をかけて壁を登るこの競技は、アルプス山脈に近いフランス、イタリア、ドイツなどが伝統的に強かったが、近年は日本勢が何人も世界の上位に名を連ねるようになった。東京2020で女子の野中生萌(のなかみほう)が銀メダルに輝いた姿は記憶に新しい。

 パリ2024の競技方式は東京2020とは異なっている。「ボルダー、リード、スピード」の3種目複合で競った東京2020に対し、パリ2024では「ボルダー&リード複合」と「スピード」の2種目で争われるのだ。

「ボルダー」は4.5mの高さの複数の壁に挑み、制限時間内に壁をいくつ登れるかを競うもので、判断力や空中でのボディバランスが必要とされる。6分間の制限時間で12m以上の壁をどこまで登れるかを競う「リード」は持久力が必要だ。

「スピード」は高さ15m、手前向きに5度張り出した壁をいかに速く登り切るかを、2人の選手が同時にスタートして勝ち抜き方式で競い合う種目。ここでは主に瞬発力が求められる。

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