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林咲希、髙田真希、馬瓜エブリン。バスケットボール女子日本代表はいかなる相手にも怯まず世界の頂点を目指す

posted2024/07/23 11:00

 
林咲希、髙田真希、馬瓜エブリン。バスケットボール女子日本代表はいかなる相手にも怯まず世界の頂点を目指す<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

パリ2024に向けて国内最終戦となった三井不動産カップ2024で奮闘する馬瓜エブリン、林咲希、髙田真希(写真左から)

text by

石井宏美

石井宏美Hiromi Ishii

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Yuki Suenaga

 パリ2024オリンピック開幕前、国内最終戦となったバスケットボール女子日本代表の強化試合、三井不動産カップ2024。日本は格上のオーストラリアに2連勝し、続くニュージーランド戦でも2連勝と4戦全勝。本大会へと弾みをつけた。

「走り勝つシューター軍団」になることを徹底的に追求し続けた2年半

 3年前、東京2020オリンピックで女子日本代表は最強アメリカを相手に12人全員が得点を決め、歴史的な銀メダルを獲得した。

 新たなる挑戦の始まりは、同年秋。2大会連続のメダル獲得を目指し、東京大会でアシスタントコーチを務めていた恩塚亨氏がHCに就任し、新体制がスタートした。

 高さで劣る日本が世界で勝つ最善策は何なのか。日本の強みを最大限に発揮し、世界で勝つために恩塚HCが掲げたのが、「走り勝つシューター軍団」というコンセプトだ。

 日本の持ち味であるスピード、敏捷性、外角シュートを前面に押し出すスタイル。その要となるのが、足を使って戦う、3ポイントシュートを打つ、そしてコートの5人が連続性を発揮し続けられることだ。高いクオリティでこれらを遂行し続けられるよう、指揮官と選手たちはこの2年半、徹底的に追求してきた。

 昨年のFIBA 女子アジアカップ2023、アジア競技大会では準優勝。アジアカップは決勝で中国を相手にわずか2点差で破れ、6連覇を逃した。

 ただ、当時は恩塚HCが掲げるバスケットボールに完全にフィットしきれていなかった。それでもアジア競技大会を経て、今年2月のFIBA女子オリンピック世界最終予選(OQT)では40分間走り切り、強豪のスペイン、カナダ、開催国のハンガリーとの「死の組」を突破。3大会連続のオリンピック出場を決めた。

3Pだけではなく、泥臭いのが一番のプレーだと語るキャプテン林咲希

 東京2020後、髙田真希の後を引き継ぎ、キャプテンに就任した林咲希。高い成功率を誇る3Pシュートは大きな武器で、恩塚HCからも「世界一のシューター」と信頼を得ている。近年はプレーの幅を広げ、ハンドラーの動きの精度も上げてきた。

 三井不動産カップはパリ2024前最後の国内試合。上背のある海外勢を想定した4連戦は、HCや選手たちにとっては価値ある大会となった。

「国内で行う国際試合は日本のファンの方々の前でプレーするということもあって、いつも下手なプレーはできないという気持ちが強いですし、すごく緊張感もあります。毎年こういう貴重な機会をいただき、そういう雰囲気を味わえるのは本当にありがたいです」

 ニュージーランドとのGAME2では得意の3Pシュートを11本中1本しか決められなかったが、「シュートだけでなく、泥臭いのが私にとって一番のプレー」と自陣でボールを追ってコートを這い、オフェンスリバウンドにも積極的に顔を出した。「3Pシュートが入らない時間帯は苦しかったけど、それでも打ち続けないといけない」と自らがやるべきことにフォーカス。「体を張ったプレー、ディフェンスはさらに強化していきたい」とパリ2024での連続メダル獲得に向け気持ちを新たにしていた。

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