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ドイツ相手に「バチバチやろうぜ」、試合後は川島永嗣と長谷部誠が…「どアウェイ」でパリ世代が得た経験は“2-2以上”にデカい
posted2023/03/26 11:00
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Daisuke Nakashima
まずは、ドイツサッカー協会に感謝しなければならない。
試合の告知に力を入れてくれたのだろう。会場となったFSVフランクフルトの本拠地PSDバンク・アリーナは、収容人数1万2000人のスタンドがほぼ埋まり、至るところで「ドイッチュラント!」のコールが生まれ、ドイツ国旗が振られていた。
この年代の親善試合では、なかなかお目にかかれない光景だ。
先制点を奪われても即、反撃に転じられた
「どアウェイでしたね。お客さんがあれだけ入ると指示の声も聞こえないですし、相手がいいプレーをしたときの歓声が凄かった」
そう振り返ったのは、センターバックを務めたFC東京の木村誠二である。プロキャリアの大半をコロナ禍で過ごしてきたU-22世代にとって、こうした雰囲気を味わうこと自体が貴重な経験となったはずだ。
むろん、貴重な経験は、ピッチ内にも数多く転がっていた。
数的不利を突きつけてくるドイツの巧みなビルドアップの前にボールを奪えず、40分にPKから先制点を献上――。
3月24日に行われたU-21ドイツ代表(23歳以下のチーム)との試合は、カタールW杯のドイツ戦を彷彿させた。
だが、W杯と違ったのは、後半まで待つことなく、メンバーを代えることもなく、反撃に転じられたことだ。43分にコーナーキックから明治大の佐藤恵允のゴールで追いつくと、後半開始早々に相手のミスを突き、佐藤のパスから柏レイソルの細谷真大が逆転ゴール。その3分後に追いつかれたものの、後半は前半よりもチャンスを作った。
序盤の15分、相手に押し込まれる展開も、織り込み済みだったようだ。インサイドハーフに入ったガンバ大阪の山本理仁が明かす。
「立ち上がりに相手が圧をかけてくるのは予想していたので、『割り切ってやろう』とみんなで話していました」
一方、アンカーを担った京都サンガF.C.の川﨑颯太は試合環境を劣勢の要因に加えた。
「相手の強度やピッチコンディションが普段のJ1と違うところがあったので、最初は飲まれてしまった。ただ、『我慢するところは我慢しよう』と全員に声をかけていましたし、最後の体を張るところ、競るところは絶対にやらせないという気持ちだったので、少し流れを持っていかれていても慌てずに時間を過ごすことができたと思います」
大岩監督の言葉通り、デュエルで渡り合えた
川﨑が言うように、ドイツに完全に流れを掴まれなかった要因のひとつが、デュエルで渡り合えたことだった。川﨑が体を投げ出して相手の進入を阻めば、左ウイングの佐藤が相手の激しい寄せに屈せず、ボールをキープする。
この手のゲームでは、日本の選手がピッチに這わされることが多いが、この日はドイツの選手が倒れる回数も少なくなかった。