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1日とんぼ返りでも参加の意義あり…カープ伝統の「合同自主トレ」に主力選手もこぞって参加する理由《強制力はなし》 

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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posted2023/01/23 11:00

1日とんぼ返りでも参加の意義あり…カープ伝統の「合同自主トレ」に主力選手もこぞって参加する理由《強制力はなし》<Number Web> photograph by KYODO

合同自主トレ初日には、今オフ右ひじの手術を受けた森下も元気な姿を見せた

 そこまでしてなぜ、合同自主トレが行われているのか——。キャリア30年超のベテラン打撃投手や、選手会長として合同自主トレを取りまとめる大瀬良大地に話を聞くと、共通の答えが返ってきた。

「まだオフの過ごし方や、自分ひとりでどうトレーニングしたらいいか分からない若手のために始まったと聞いている」

 今では他球団の選手と自主トレすることが珍しくなくなったものの、それも一昔前はあまり見られなかった。そうなると各自で練習メニューを考えながら取り組まなければいけなかっただけに、キャンプが近づく1月中旬から集まって自主トレするようになったようだ。確かに、合同自主トレ初日に明らかに練習が不足していると分かる選手は過去にいた。それがキャンプイン後であればシーズンを棒に振りかねない。

 トレーナーによって練習メニューが組まれ、裏方のサポートを受けながら調整できることだけがメリットではない。新人やニ軍中心の若手にとって、一軍で活躍する選手とともに練習する環境にこそ、学びがある。

カープで受け継がれる伝統

 2014年の合同自主トレの光景が思い起こされる。

 ショートダッシュのインターバル走で走り終えた選手たちがその場にしゃがみ込む中、実績あるベテラン選手だった永川勝浩は止まることなく歩きながら呼吸を整えていた。まったく同じ動きをしていたのがもうひとり、当時新人選手として参加していた大瀬良だった。

「先輩の姿を見ていました。永川さんもそうですし、河内(貴哉)さんは信じられないくらい走っていて驚いた。今、僕もちょうど同じくらいの年代になってきたので、態度や技術を見てもらって、やらないとなと思ってもらえれば。少なくとも僕は、そう思っていた」

 新人時代を回想する大瀬良は、すでに後輩の鑑となっている。2014年の合同自主トレと同じ光景が、2020年にも見られた。前年まで3年連続ふた桁勝利とチームの大黒柱となった大瀬良は、やはりインターバル走の間もしゃがみ込まない。同じように一度もしゃがみ込まなかったのが、当時新人の森下だった。

 伝統は言葉によって受け継がれるものではなく、見て学んで受け継がれるものなのかもしれない。

 19日には、昨秋行われた現役ドラフトで巨人から広島に移籍した戸根千明も合流した。最終日の1月30日にはほとんどの選手が揃うことだろう。広島の1月に見られる光景からは、新井監督の言う「チームは家族」を表すようなまとまりが感じられる。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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