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プロ野球PRESSBACK NUMBER
〈最後の近鉄戦士〉坂口智隆が明かしたあの日…「俺たちどうなんの?」寮のテレビで知った球団消滅 引退スピーチに込めた“いてまえ魂”の秘話
posted2023/01/23 11:01
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
Ichisei Hiramatsu
パ・リーグを4度制した近鉄バファローズが消滅して19年。2月1日にキャンプインを迎えるNPBからは、ついに現役の出身選手が一人もいなくなった。「最後の近鉄戦士」として活躍し、昨シーズン限りで現役引退した坂口智隆さんに当時の思い出を聞いた。〈全2回の1回目/#2へ〉
昨年10月3日、現役最後の公式戦出場となったヤクルト対DeNA戦後の引退セレモニーで、坂口はこんなスピーチを残した。
「近鉄に入団し、いてまえ魂というプロ野球選手としての勢いを、オリックスではもののふの心という戦う姿勢、心を、そしてヤクルトでは不屈の魂というはい上がる力を、諦めない強さを与えていただきました」
11年間在籍したオリックス、現役最後の7年間を過ごしたヤクルトについては自身の応援歌の歌詞の一節を引用してファンに感謝の心を伝えた。プロとしての第一歩を踏み出した近鉄への思いを表す言葉に選んだのは、「いてまえ」だった。
「それぞれのチームのファンの方に一番響く言葉を残したくて考えました。近鉄はやはり“いてまえ”でしたね。在籍したのはたった2年ですが、それこそ“いてまえ打線”と言われていた時代で、とにかく豪快な印象でした。入団してすぐチームの練習を見て、なるほどこれが近鉄か、と。練習量も多いしとにかくみんな体が強い。まさに“いてまえ魂”が似合うチームカラーでしたね」