炎の一筆入魂BACK NUMBER
《リーグ3連覇の栄光再び》世代交代に意識改革…広島・新井監督は未解決の難題をどう解決する?「カープの伝統は…」
posted2023/01/02 11:02
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
JIJI PRESS
新井貴浩監督が宙を舞う——。
そんな初夢を見た、広島ファンもいたのではないだろうか。現役時代に「新井さん」と親しまれた新指揮官は、監督就任後も前向きなコメントと選手時代と変わらない人柄でファンの心を掴んだ。カープは変わる、そう信じているファンは少なくないだろう。
筆者も、広島は変わると感じている。ただ、初年度だけで劇的な変化を遂げるとは思っていない。現実に目を向けると、チームは4年連続Bクラス。最後までクライマックスシリーズ進出を争った昨季も、結果的には最下位中日に0.5ゲーム差の5位だった。過渡期にあるのは、紛れもない事実だ。
新井監督は今年1年だけでもAクラスに入ればいい、というチームを目指していない。3連覇した時代のように、勝てるチームの基盤をつくることを決意している。
「1年単位ではなしに、何年ユニホーム着ているか分かりませんけど、中期的、長期的なビジョンを頭に入れてやっていきたい」
就任会見で、そう力強く語った。根底には何度も口にした「カープのために」という思いがある。監督就任からのコメントや覚悟に触れるたびに、自身の名声や立場よりもカープの未来を最優先に考えていると感じる。
選手育成という難題
チーム内の代謝を上げながら、理想と現実のギャップを埋めていく作業が必要となる。時間と根気強さを要する作業だ。特に育成面では、忍耐力も問われる。
ここ数年、勝ちパターンを確立できていないのは、人材不足だけが理由ではない。1、2度の失敗で選手の役割を変える、あるいは序列を下げる方針が悪循環を招く一因だった。新井監督は「そこは自分も腹をくくって、我慢してやらないといけない」と覚悟する。
野手陣は世代交代が進んでおらず、このままでは近い未来に問題に直面するはずだ。重要課題である投手陣の再整備を進めながらも、一朝一夕では解決できない野手の育成にも取り組んでいかなければいけない。