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ラグビーを辞めた早稲田のキャプテンは今……違和感が消えなかった就職活動、イギリス留学で見つけた新しい“挑戦”は「ブルー」と「パリ五輪」 

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中矢健太

中矢健太Kenta Nakaya

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photograph byYohei Osada/AFLO SPORT

posted2023/01/21 11:00

ラグビーを辞めた早稲田のキャプテンは今……違和感が消えなかった就職活動、イギリス留学で見つけた新しい“挑戦”は「ブルー」と「パリ五輪」<Number Web> photograph by Yohei Osada/AFLO SPORT

2020年度の早稲田大学で主将を務めた丸尾崇真。引退後、英オックスフォード大への進学を目指すためにイギリスに留学していた

 特段、英語の素地がなかった丸尾は、生活に困らない程度の英語を勉強してから、21年6月にイギリスへ渡った。現地の学校に通いながら、人生初のひとり暮らしを開始。まずは地元の安いスーパー探しから始めた。途中、英語を上達させるために、現地のシェアハウスへ引っ越した。

 いくつかの国も回った。ウクライナとロシアの戦争が始まった直後、丸尾はポーランドへ行った。現地でバスを探すために大きな待合室に行くと、中では隣国のウクライナから逃れてきた人々が雑魚寝して、炊き出しの湯気が上がっていた。それを目にして、言葉が出なかった。

 ラグビーはしないつもりだった。だが、ラグビーブランド「RHINO」のCEOであり、奥克彦氏とも親しかったレジ・クラーク氏との出会いで心変わりする。「ラグビーはしないのか?」と問われた丸尾は「勉強だけしたい」と答えた。すると、こう言われた。

「1日24時間あって、1~2時間ラグビーするのだったら何の問題もないし、そういうソーシャルを楽しむこととの両立も大事だよ」

 確かに、そうかもしれない。妙に納得した。受験の大きな妨げにもならないだろう。こうして、丸尾は紹介してもらった「リッチモンドラグビークラブ」に加入した。

「みんな試合直後なのに水みたいに飲む」

 ラグビーをツールにして、たくさんの人と繋がった。丸尾の中にあった常識はすぐに崩れ、世界が広がった。ラグビー発祥の地であるイギリスでは、ビールは欠かせない。

「みんな試合直後なのに水みたいに飲むんで。日本だと『飲めよ』って感じが、向こうでは『はい、お前の分』って当然のことのように渡してくれるので。親切心でくれるから、僕も『お……ありがとう』って(笑)。その優しさは断れないですよね。そんなことも含めて、本当に良かったですね」

 秋の受験に向け、学校から帰ると自習。ラグビーを通じて友達もできた。充実した毎日を送りながら、生活の隅々にある独りの時間。そこで丸尾に巡ってきたのは、あるひとつの後悔だった──。

 1年前の選手権決勝、天理大との決戦を迎える週の水曜だった。

<#2へ続く>

#2に続く
辞めたはずのラグビーでなぜ日本代表に? 早稲田の元主将が“無職”になってでも追う2つの夢「お前何考えてるんだ、って声は気にならない」

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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