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ラグビーを辞めた早稲田のキャプテンは今……違和感が消えなかった就職活動、イギリス留学で見つけた新しい“挑戦”は「ブルー」と「パリ五輪」 

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中矢健太

中矢健太Kenta Nakaya

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photograph byYohei Osada/AFLO SPORT

posted2023/01/21 11:00

ラグビーを辞めた早稲田のキャプテンは今……違和感が消えなかった就職活動、イギリス留学で見つけた新しい“挑戦”は「ブルー」と「パリ五輪」<Number Web> photograph by Yohei Osada/AFLO SPORT

2020年度の早稲田大学で主将を務めた丸尾崇真。引退後、英オックスフォード大への進学を目指すためにイギリスに留学していた

 バーシティマッチとは、イギリスのオックスフォード大とケンブリッジ大の定期戦で、設立は1872年。大学ラグビーでは最古の定期戦である。会場は22年11月に日本代表がイングランド代表と対戦したラグビー専用のスタジアム、聖地トゥイッケナム。そのバーシティマッチに一軍選手として出場すると「ブルー」という称号をもらえる。学生スポーツの最高峰で闘った証だ。

 この先、国を背負って立つエリート候補生たちが、なりふり構わずバチバチにやり合う。両校にとって、リーグで優勝することよりも、この一戦に勝つことの方が重いという。

 その一戦に、今までの人生すべてを懸ける――。早明戦や早慶戦を体感してきた丸尾は自然と惹かれた。また、1年生の終わりにオックスフォード遠征に参加していたことや、外交官だった奥克彦氏、三洋電機で活躍した西岡晃洋氏など、オックスフォードに挑戦した先人たちが早稲田にいたことも影響した。実際に西岡から話を聞くと、その気持ちは強くなった。

大切にしてきた「ラグビーをする理由」

 中学生の頃から留学に興味はあった。初等部から早稲田一筋だった丸尾は、狭い世界で生きてきたことを当時から自覚していた。「外の世界を見てみたい」という思いを募らせながらも、きっかけがなかった。それが回り回って、行き詰まった丸尾に選択肢として降りてきた。

 なぜ、ラグビーをするのか。その理由を丸尾は大切にしてきた。今までは早稲田で日本一になるためにラグビーをしてきた。オックスフォードでブルーを取ることは、これと同じ部類に入った。しかし、なぜオックスフォードに惹かれたのか。そもそも、なぜ早稲田だったのか。これは丸尾自身も分からないという。

「好きな人を好きな理由ってなかなか説明するの難しいじゃないですか。それと同じで、自分の語彙力では言語化できない。でも、だから挑戦したいって思いました」

 対抗戦が始まる前には、オファーをくれたチームに全て断りを入れた。その中で一つだけ「最後に気持ちが変わるかもしれないから」と、大学選手権決勝まで待ってくれていたチームがあった。そこも、決勝を終えてから断った。

 こうして、丸尾のオックスフォードへの挑戦が幕を開けた。

【次ページ】 21年6月に渡英「ラグビーはしないのか?」

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