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辞めたはずのラグビーでなぜ日本代表に? 早稲田の元主将が“無職”になってでも追う2つの夢「お前何考えてるんだ、って声は気にならない」

posted2023/01/21 11:01

 
辞めたはずのラグビーでなぜ日本代表に? 早稲田の元主将が“無職”になってでも追う2つの夢「お前何考えてるんだ、って声は気にならない」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

7人制ラグビー日本代表としてワールドシリーズ(22年12月ケープタウン大会)に出場した丸尾崇真。オックスフォード大への進学を視野に入れながら、パリ五輪も目指す

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中矢健太

中矢健太Kenta Nakaya

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Takuya Sugiyama

引き続き、早稲田大学ラグビー蹴球部の元主将・丸尾崇真のインタビューをお楽しみください。後編では、異国の地で気づいた“後悔”について赤裸々に明かしている。全2回の2回目(#1も見る)。

 2021年1月の選手権決勝、天理大との決戦を迎える週の水曜だった。

 日曜に試合がある週は、月曜のオフから始まり、土曜の調整で締める。練習再開から2日目の水曜は、フルコンタクトで身体を当て、フィットネスで走り込み、息を上げる。そこで強度を上げて最終調整に向かっていくのがルーティンだった。

 準決勝、帝京大との激戦を33-27で制して、チームの士気は上がっていた。あと一歩で2連覇に、“荒ぶる”にたどり着く。だが、その水曜をなぜか、ぬるりと過ごしてしまった。

「準決勝で勝ったあと、まるで“荒ぶる”への道が見えたか、掴んだかのように思っていたんだと思います。僕たちは『BATTLE』っていうスローガンを掲げて、毎日が戦いだったし、コンタクトもバチバチにいってた。だけどこの1日だけ、なぜか少しだけ守りに入ったんですよね。ちょっとケガしたくないとか、あとは調整だけでいいやとか。ここからもう一つ、超えることができなかったんですよね。

 後悔はないか、負けてからいろいろ聞かれて、僕は『ないです』ってきっぱり答えてきたんです。でも、留学に行って時間ができて、思い出したくもないのに、何回も思い出すことがあって。やっぱり後悔はあったんですね。やり切ってねえじゃん。やれること、あと一つあったわって。あの水曜が僕たちのその後を左右した。だから、負けるべくして負けたんだなって思っています。

 もし戻れるなら、あの日に戻りたい。やり直したい。あのフルコンタクトの練習が何回も夢に出てきて。タイムマシーンで戻ったら、自分がどういう振る舞いをするかっていうところまで考えました」

 やり切った。本当にそう思っていたし、言い続けてきた。異国の地で独りになって、初めて後悔に気づいた。

オックスフォード大の試験に落ちた

 そんな現地生活を送りながら、オックスフォードを受験した。しかし、世界大学ランキング7年連続トップの攻略は、そう簡単ではなかった。試験に落ち、必死で作成した英文の自己推薦書はことごとく跳ね返された。

 早大を卒業してから丸尾の原動力となっていたのは、根拠のない自信だった。だからこそ、結果を突きつけられると目の前が真っ暗になった。落ち込んだ。家にいると、落ちたショックと将来の不安、孤独が重なって、どうしようもなくなった。

「1年間やってきたのに、なんだよって。近所にめちゃくちゃデカい公園があって、そこで走って叫びました。『クソォォーー!』って(笑)」

【次ページ】 受かった大学に行くか、無職になって浪人するか

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