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「ニッポンのファンになった」ドイツが敗退したのに…カタールに残って森保ジャパンを取材したドイツ人記者の告白「正直驚いた3人の日本人選手」
posted2022/12/15 17:01
text by
フィリップ・セルドーフ/南ドイツ新聞Philipp Selldorf / Süddeutsche Zeitung
photograph by
JIJI PRESS
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「ドイツが敗退したあともカタールに残った」
ドイツ人の筆者は自国の代表が敗退した後もカタールに残り、日本とクロアチアによる決勝トーナメント1回戦をアル・ジャヌーブ・スタジアムで観戦した。ドイツから鮮やかな勝利を収めた日本に興味を持ったからだ。
この日も日本は格上と呼べる相手──ルカ・モドリッチを擁する前回大会の準優勝国だ──に、延長後半の終了の笛が鳴るまで懸命に戦っていた。ポゼッション率やシュート数ではやや劣ったが、良いプレーは随所に見られ、球際の勝負では互角にファイトし、不要なリスクは冒さなかった。ただしPK戦に入る段階で、日本の選手たちはすでに劣勢になることを感じていたかもしれない。なぜならクロアチアは大舞台におけるPK戦、つまり極限の神経勝負の経験を豊富に持っていたからだ。
クロアチアはストレスへの強い耐性を備えており、いかなる状況でも落ち着きを失わない。そして成功を渇望している。4年半前のロシア大会でも2度のPK戦を勝ち上がっている彼らは、モドリッチ、イバン・ペリシッチ、マテオ・コバチッチ、アンドレイ・クラマリッチといった主力をベンチに下げていたが、それ以外の選手が堂々たるキックでネットを揺らした。逆に日本は最初のキッカーの南野拓実、そして三笘薫と吉田麻也も、重圧を感じていたようなシュートで失敗してしまった。
ドイツ監督も公言「ニッポンのファンだ」
日本代表とその選手たちが目覚ましい成長を遂げているのは間違いない。技術、戦術、身体の面では、トップレベルにかなり近づいてきている。しかし精神面や勝負強さでは、クロアチアのような一線級と比べると劣ってしまう──少なくとも、現段階では。
それはより多くの選手たちが欧州のトップレベルのクラブに所属し、日常的にメンタルタフネスを試されるような環境に身を置くことで改善されていくはずだ。また代表チームや日本サッカー協会は、欧州の強豪国のようにPKとPK戦の研究と対策を講じていくべきだろう。