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日本戦前日の“袋叩き会見”でイラ立ち、火が付いたコスタリカと対照的…敗因はやはり森保ジャパンの「緩み」では…現地で記者が見た話
posted2022/11/29 17:05
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
Kiichi Matsumoto/JMPA
W杯4度優勝のドイツに逆転勝利を収めて世界中から称賛された森保ジャパンだが、先発5人を替えて臨んだグループステージ第2戦のコスタリカ戦では初戦の勢いをくじかれ、0-1でまさかの敗戦を喫した。
初戦から2戦目までの間、チームはどのような準備をしてきたのか。気の緩みはなかったか。試合前日から試合終了後のミックスゾーンまで、現地で見た日本代表の姿とは――。
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コスタリカ戦前日のトレーニングは日本で言えば真夏並みの太陽光が降り注ぐ午前11時30分から行われた。当初の予定より30分後ろ倒しのスタート。午後1時キックオフのコスタリカ戦に向けて、気温や強い日差しに慣れるという意図があった。
日本代表の練習はドイツ戦勝利を境に取材に訪れる人数がどんどん増え、ピッチ横に設置されている[JAPAN MEDIA CENTER]の机がとうとう足りなくなるほどだった。対戦国のコスタリカメディア、カタールメディア、アジアのメディア……。注目度がさらに上がっている。
GK権田修一は練習後のメディア対応の際、コスタリカ戦が行なわれるアルラーヤンで午後1時キックオフだった25日のウェールズ対イランの試合をテレビ観戦したと言い、「日差しが入ってくるのは映像で確認しましたけど、スタジアムには冷房があると言っても実際効いているかどうか。日光を浴びると体力の消耗もある」と、細部にまで考えを巡らせていた。その場にいる記者陣に「誰か行った人はいますか?」と尋ねてさらに多くの情報を得ようとするあたりが権田らしい。その試合は日本の練習時間と被っていたため手を挙げる記者は現れなかったが、権田の貪欲な姿勢を感じた。
ミックスゾーンでの“吉田の言葉選び”から見えてきたもの
DF吉田麻也は「正直、相手が前からプレスをかけてくるのか、ブロックを敷いてくるのか、ちょっとまだわかんないですけど、両方に備えておかないといけない」と話していた。
試合中に起こりうる様々なシチュエーションを想定し、それぞれ整理しておくことは、森保ジャパンのW杯へのアプローチで非常に重要な作業だ。吉田によれば9月のドイツ遠征時の10日間余りの期間は、その作業をすることで毎日忙殺されていたという。
「9月は本当に忙しかったです。宿舎でも忙しくて、ほとんど自分の部屋にいなかったぐらいだった。僕だけじゃなくて(長友)佑都や(柴崎)岳といった、W杯で戦った選手たちがすごくいい話をしてくれました。それが(ドイツ戦勝利という形で)1つ実ったのはもちろん嬉しい。でも、ここはゴールではないし、次の試合(コスタリカ戦)の準備もしています」
吉田は自身のコメントが記事というワンクッション置いた形で代表のチームメートに届くことを意識しているかのように、さらにこう言った。
「グループステージが決まった時からドイツ、スペインにフォーカスされがちで、コスタリカがないがしろというか、ちょっと後回しにされてきた。2戦目の重要性や、W杯に出る国に楽なチームはない。どのチームも国を背負って戦う。意地をかけ、プライドを持って戦ってくる。そこに対して中途半端に臨むと一気に飲まれる」
ミックスゾーンでの吉田の言葉選びからは、ドイツ戦で劇的勝利を飾った後だからこそチーム全体を引き締めようという意図が感じられた。