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日本戦前日の“袋叩き会見”でイラ立ち、火が付いたコスタリカと対照的…敗因はやはり森保ジャパンの「緩み」では…現地で記者が見た話
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2022/11/29 17:05
グループステージ第2戦でコスタリカに0-1敗戦となった日本代表
森保ジャパンの「緩み」の正体
しかし、現実はその通りにいかなかった。日本は勝ち点3を手にしようというプランで試合に入ったが、自分たちがベースとしている4バックではなく5バックでブロックを固めてきたコスタリカを相手に、まるでアジアカップやW杯アジア予選で日本に対峙する国がやってくるような引いた守りに手をこまねいて、打開策を見いだせないまま時間が過ぎた。
すると、0-0で迎えた後半36分。背後へ放り込まれたボールを左センターバックの伊藤洋輝がヘディングで跳ね返し、吉田が右足で前方につないだが、これが中途半端な浮き球になり、守田英正がスライディングでクリアしようとしたものの瞬時に相手に奪われ、決勝点を決められていた。GK権田はジャンプしながらディフレクティングを試みたが、シュートスピードが思った以上に遅くてタイミングがずれてしまい、体が伸びきった状態でのパンチングとなり、弾ききれなかった。
一つ一つは小さなミスだったが、その積み重ねが「1失点」という数字になった。
しかも、ミス自体は消極姿勢に起因するものではなく、むしろ勝ち点3を取りたいがために前掛かりになっていたから起きたもの。日本は0-0で残り10分という時間帯に、引き分けで良しではなく、得点を取るためにボールをつなごうとしていた。攻撃に転じることに考えが進みすぎてリスクマネジメント力が低下していたのだ。
失点場面に「緩み」が見えた理由は、失点を防ぐことに集中するのではなく、攻撃に転じるプレーを選択したから。「緩み」が見えたのは、文字通りのらりくらりとプレーする相手に付き合ってしまった攻撃面。球際のファイトで負け、泥臭くクロスに飛び込む動きもなく、きれいにつなげば点は取れるだろうという「緩み」があったとしか思えない。
遠藤航がコスタリカ戦後に述べたこと
0-1の敗戦に終わったコスタリカ戦にフル出場した遠藤は、試合終了後、2018年のコスタリカ戦からの成長について聞かれ、「相手も多分違うし、ワールドカップだし、個人的には4年前に勝って今日負けたから成長していないという訳ではないと思う」と強気の姿勢を崩さなかった。遠藤はその後、右ひざの負傷で別メニュー調整となっていることが日本サッカー協会から発信されたが、強い気持ちを持つのは遠藤だけではない。第3戦は文字通りの総力戦となる。
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