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日本戦前日の“袋叩き会見”でイラ立ち、火が付いたコスタリカと対照的…敗因はやはり森保ジャパンの「緩み」では…現地で記者が見た話
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2022/11/29 17:05
グループステージ第2戦でコスタリカに0-1敗戦となった日本代表
「なぜ0-7で負けたのか?」「明日は生まれ変わった姿を見られるのか?」などの辛辣な質問が引きも切らず続いた。ルイス・フェルナンド・スアレス監督はその都度、「これをレッスンとして次の挑戦に生かすこと。繰り返さないことが大切だ」「生まれ変わる必要はない。なぜなら私たちは死んでいないからだ」と繰り返し訴えた。
記者の相次ぐ厳しい質問にイラ立ちながらも…
ふと、壇上にいるFWのジョエル・キャンベルの手が動いているのが見えた。不思議に感じて見ていると、監督への質問の時でも左手に持っているペンで何やらずっとメモを取っていた。
キャンベルは会見の冒頭で「我々にとって最後の重要な試合になる。勝ちに行く」と意気込んだが、相次ぐ厳しい質問に対していらだちを隠せなくなっていた。
「明日のピッチで何が起こるかは分からない。これがサッカーだ」と口調を強めると、再びペンを握ってメモ。もしや、“デスノート”でもつけているのだろうか……。
会見では監督と選手が袋だたきに遭っているようにすら見えた。ここまで言われっぱなしで奮起しない人はいないだろう。
コイントスの裏で…日本は攻撃より守備を重視した
11月27日。コスタリカ戦の日のドーハは快晴だった。昼間の気温は30度超え。果たしてピッチ上では冷房が効いているのだろうか。
すると、キックオフ前のコイントスで勝った吉田は、強い直射日光を正面から浴びることになるエンドを選択した。これは意外だった。
ただ、このエンドを選んだ狙いはハッキリとしていた。GK権田は、このように説明した。
「前半は少し暑いけど、後半、うちが勝っている中で相手が放り込んでくる展開になった時に、少しでも日差しのストレスがない方がいいと、僕だったりマヤだったり、みんなで話していました」
つまり、日本がリードし、試合終盤に逃げ切るパターンとなっていることを想定してのリスクマネジメントだった。直射日光の下でのプレーで攻撃陣の体力が消耗されることの不安よりも、守備陣のロングボールを跳ね返す体力がガス欠を起こさないようにというところに比重を置いた。裏を返せばこれは、ドイツ戦で2得点した攻撃陣への信頼感とも言える。