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じつは“G大阪志望”だった? 流経大・守田英正の才能に惚れた川崎F敏腕スカウトのホンネ「(獲得競争は)かなり分が悪いな、と」
posted2022/11/19 11:27
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph by
Getty Images
今回のカタールW杯の日本代表に選ばれた選手の経歴を見ると、大学サッカー経験者が多いことが一つのトピックとなっている。
1998年のフランスW杯では11人を数えた大学サッカー出身者だが、2002年の日韓W杯以降の大会では2、3人にとどまっていた。つまり、完全に少数派だ。しかし今大会では9人と大幅に増加。26人のうち、じつに3分の1以上の割合を占めている。W杯出場国を見渡しても、これだけ大学サッカー経験者が名を連ねている国は稀だろう。
なぜ大卒選手の海外移籍が増えたのか
こうした背景を読み解く上で、うってつけの人物がいる。
川崎フロンターレの強化部でスカウト担当を務めている向島建だ。
周知の通り、川崎はカタールW杯の本大会メンバーに在籍経験がある選手を数多く送り込んでいる。それに加えて、大卒選手を主軸にしたチーム作りが奏功し、近年のJリーグを引っ張る存在になったクラブだからである。
ただここ2年で、守田英正、三笘薫、旗手怜央という大卒選手の主力が海を渡った。数年前には考えにくかった大卒選手の海外移籍が活発化し始めているのだ。この現象に関する率直な感想を向島に聞いてみると、「複雑な気持ち、ですかね」と苦笑した。
「自分はフロンターレのスカウトとして、ここで長くプレーしてもらうために選手を獲得していますからね。海外でプレーしたいという選手の夢を応援したい反面、中村憲剛のようにクラブで長くプレーしてほしい気持ちもあるので、ちょっと複雑なところはあります」
大卒後にプロの舞台で活躍した選手の場合、海外移籍を検討する頃には23~25歳になっている。市場的には、決して“若手”ではない。国外のクラブから声がかかることもそう多くはないはずで、だからこそ「大卒選手ならば長くチームでプレーしてくれるだろう」というのがこれまでの向島の見立てだった。