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大津高時代の谷口彰悟にアプローチ、しかし返答は「大学に行きたい」…川崎F現キャプテンを追い続けたスカウトが称える“完璧な人間性”
posted2022/11/19 11:29
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph by
JFA/AFLO
カタールW杯の日本代表には、大学サッカーを経由してプロ入りを果たした選手が数多く選出された。学生時代の彼らはどんな輝きを放ち、いかに成長を遂げていったのか。守田英正、三笘薫、谷口彰悟の獲得に携わった川崎フロンターレの向島建スカウトに話を聞いた。(全3回の3回目/#1守田英正編、#2三笘薫編へ)
11月1日。
カタールW杯のメンバー発表があった当日、クラブハウスで行われた日本代表選出記者会見。その場で谷口彰悟が切り出したのは、これまで育ててくれた人たちに対する感謝の言葉だった。
「僕は大学を卒業してから、このクラブに入団させてもらいました。このクラブに育ててもらったと思っています。これまでたくさんのコーチ、スタッフ、選手も含めて色んな人たちとサッカーをして成長させてもらった実感があります。関わってくれた方々に感謝をお伝えしたいです」
Jリーグの舞台で研鑽を積み続けて、ついにW杯の舞台にまでたどり着いた。海外移籍を経験していないJリーガーで26人に選ばれたのは、山根視来と相馬勇紀、追加招集の町野修斗、そして谷口の4人だけである。だが、自身が国内組であることに彼は胸を張った。
「自分で勝手に『Jリーグを代表して戦う』と思っています。それぐらいのものを背負って戦うべき大会だと思っている。僕たちでもできるとなれば、Jリーグで頑張っている選手たちにも『遠い世界ではないんだ』と思ってもらえます。そういったことも含めて、戦っていきたい」
高校時代から注目も本人の答えは「大学に行きたい」
筑波大学を卒業した谷口が川崎フロンターレに加入したのは2014年のことだ。
ただ、スカウトの向島建が谷口の獲得に乗り出したのは、大学時代が最初ではない。実は大津高校で活躍していた高校生のときだった。
「高校2年生で出場した高校サッカー選手権で見ました。当時はボランチで、シンプルにボールをさばく姿にセンスを感じましたね。身体能力も非常に高かった。2年生の選手権後に宮崎県綾町の春季キャンプに呼んでみて、フロンターレのスタイルにもマッチしていたので、ぜひ獲りたいと感じました。キャンプにはお父さんも来ていて、口頭で『どうですか』と打診させてもらいました」