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じつは“G大阪志望”だった? 流経大・守田英正の才能に惚れた川崎F敏腕スカウトのホンネ「(獲得競争は)かなり分が悪いな、と」
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph byGetty Images
posted2022/11/19 11:27
流通経済大学時代、向島建スカウトに能力の高さを見出された守田英正。日本代表の中盤の核となる選手だけに、左ふくらはぎの状態が心配される
「ただ最近では大学の頃から仲介人がいたり、海外クラブのスカウトもマークしていたりして、すごく海外に行きやすい状況になっています。それだけ大学サッカーから入ってくる選手の力が認められるようになったのだと思います」
大学を経由してJリーグで活躍し、それから海外へと巣立っていく選手の数は、今後も増加傾向が続くだろう。
守田英正に告げた「ウチではすぐに出られないよ」
近年の“大卒の海外組”の具体的な例を挙げると、守田英正がその典型と言えるかもしれない。
流通経済大学卒業後、2018年に川崎フロンターレに加入。2021年にポルトガル1部のサンタクララに移籍したが、この時点で25歳だ。それでも今夏から同じポルトガルリーグの強豪・スポルティングCPに移籍し、欧州チャンピオンズリーグの舞台にも立っている。今や日本代表の中盤に欠かせぬ存在となっており、海外に移籍した大卒選手としては、かなり順調なキャリアの歩み方だ。
そもそも守田英正は、いかにしてプロになったのか。
一般論だが、高卒選手を獲得する場合、多少は荒削りであっても、身体能力や伸び代といったポテンシャルの部分を重視すると言われている。一方で大卒選手は、選手としての完成度が求められる。川崎が大卒選手に求めている基準もそこだ。
向島は「当然、即戦力であることですね。すぐに試合に絡んでほしいというのはあります」と前置きしつつ、その後に「ただし」と付け加えた。
「ウチもレベルが上がり選手層が厚くなってきて、優秀な大卒選手でもそう簡単に出場できない状況になっています」
即戦力の期待をかけて獲得するものの、言わずもがなJリーグ最強クラスの戦力を誇るクラブだ。すぐには試合に出られない現実もある。そのことを覚悟して、入るかどうか。近年の川崎ではそこが大きなポイントになっている。
実際、流通経済大学からやってきた守田がまさにそうだった。彼を獲得する際、向島は本人にこう告げたという。
「ウチではすぐに試合には出られないよ。特にボランチは」