箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
大本命・駒澤大を止めるのは…? 箱根駅伝まで残り50日、“前哨戦”から見えてきた今季の勢力図「箱根の勝ち方を熟知している青学大は…」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJIJI PRESS
posted2022/11/13 17:00
エース田澤廉を擁し、出雲駅伝、全日本大学駅伝を勝利した駒澤大。沿道にいる“そっくりさん”の声援も受け、田澤は全日本の7区で区間新記録を樹立
ここに唐澤拓海ら3年生の主力組が戻ってくれば選手層はより厚みと強さを増し、山野がいう「往路復路を制した完全優勝」が見えてくる。
現時点での課題は「山」だろう。前回は金子伊吹(当時2年)が5区4位とまずまずの走りを見せたが、長野出身のルーキー山川も山の神になりたいというほど、山への憧れと意欲が強い。その山に選手起用がハマり、これまでの駅伝のようにノーミスで行ければ、他校にとっては「絶望的な箱根」になる。駒澤大にとっては歴史的なタイムで3冠達成の歓喜の時を迎えることになるだろう。
国学大「チーム全員で勝ち取った2位」
本命の駒澤大以外で暴れそうなチームの筆頭は、国学大だ。
出雲2位に次いで、全日本も1区17位から最終的に2位まで盛り返したのは、チームに力がついている証拠。全日本の後、前田康弘監督は「チーム全員で勝ち取った2位」と評したが、一体感と底力を感じさせるレースだった。大きいのは、主将の中西大翔(4年)、伊地知賢造(3年)、平林清澄(2年)、山本歩夢(2年)の4本柱が非常に安定していることだ。中西は3月の学生ハーフ2位からどのレースも外さず、出雲は4区区間賞、全日本は3区6位と安定感を見せている。走れる主将がいることでチーム内に安心感が生まれ、各選手が思い切った走りができている。
課題は山と主力選手以外の中間層の成長
また、前田監督が「戦略的に中西を大事なところで投入できるのが大きい」と語るように主将の起用法は国学大の駅伝戦略の肝になっている。全日本では、2区の山本が10人抜きで7位に順位を上げ、伊地知がラスト8区で青学大を抜いて2位を確保する素晴らしい走りを見せた。平林もエース区間7区で4位と上々の走りを見せた。
この4本柱に加え、同じく全日本で藤本竜(4年)が4区4位、坂本健悟(4年)は6区6位と駅伝で走れる力を証明した。さらに「ラストスパートが持味」と語るルーキーの青木瑠郁が出雲1区7位、全日本5区区間賞と結果を残し、箱根を走る上で重要な役割を果たせる選手に成長している。
課題は山と主力選手以外の中間層の成長だが、主力につづく数名のメンバーが出てきて、彼らが実力通りに走れば、前田監督の恩師である駒澤大・大八木弘明監督に一矢報いて3冠阻止、さらに大学史上初の総合優勝も見えてくる。