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甲斐拓也か、森友哉か…WBC侍ジャパン栗山監督を悩ます捕手選考! そこで浮上する第3の男とは?「想像できないことに対処するために」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKiichi Matsumoto
posted2022/11/08 11:05
WBC侍ジャパンの強化試合の第2戦で登板した宮城大弥と会話をかわす甲斐拓也(右)
そういう守備力から考えると中村か甲斐ということになるが、やはり甲斐の国際試合での経験と実績、そしてこの間に代表チームで培ってきた投手陣からの信頼は、なにものにも代え難いものがあるのではないだろうか。どうしても打力もと考えれば中村を主戦にして、甲斐の経験は抑え捕手的な試合終盤での起用もありかもしれない。ただ、「センターラインの守りを重視」となれば、甲斐を主戦で起用しグラウンドにいることが、チームにとっては大きな力となるはずである。
打てる捕手という魅力は捨て難いが…
そこで守りに少し難のある森の処遇だ。
もちろん森の打撃、打てる捕手という魅力が捨て難いことも理解できる。今回の強化試合でも第1戦の日本ハム戦では1点を追う4回に逆転2ラン。さらに第2戦後に行われたタイブレーク用の練習でも1死二塁からきっちり中前タイムリーとアピールした。打力を活かして森を先発させ、“抑え捕手”に甲斐を起用する(このケースでは選択は甲斐一択になると思う)という考え方もあるかもしれない。
ここでもう1つ、森には配慮しなければならない問題が隠されている。
WBCのメンバー選出で最も問題なのは、シーズンに向けて控えとなる選手が実戦練習不足という課題を抱えることだ。もちろん代表全員を12球団の主力で固めるのは理想である。その一方で控えとしてバックアップする選手は、当然、試合への出場機会が減って、レギュラーシーズンへの準備が十分にできないという問題が残ってしまう。
しかも森の場合はこのオフにフリーエージェントを宣言して、西武から他チームへの移籍の可能性もある状況だ。もし移籍となれば、来春のキャンプからオープン戦は新しいチームでの準備期間であり、多くの投手の球を受けることから、チームプレーやサインプレーなどにも馴染んでいく時間となる。
そう考えると2月から3月半ば過ぎまで代表チームに参加してチームを離れることは、本人にも新しい所属チームにもなかなかハードルは高いということだ。
守り重視の第3捕手に打ってつけの人材とは?
そういう意味では森の招集自体が、なかなか難しくなることも考えられる。ならばそこでもう1人、今回は召集されていないが、この条件で代表入りがぴったりの捕手がいる。