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甲斐拓也か、森友哉か…WBC侍ジャパン栗山監督を悩ます捕手選考! そこで浮上する第3の男とは?「想像できないことに対処するために」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKiichi Matsumoto
posted2022/11/08 11:05
WBC侍ジャパンの強化試合の第2戦で登板した宮城大弥と会話をかわす甲斐拓也(右)
甲斐&森&中村、3人の捕手を招集
ただNPB組のメンバー選出は今回の強化試合に招集した選手が軸になる。そこで1つの焦点となるのが、捕手の人選である。
「やはり投手を中心に守りをしっかりしながら日本らしい形を作るという意味では、チームの軸になるセンターラインの選手たちを選ぶというのは大事な要素でもありました」
代表チームを率いる栗山英樹監督は言う。
今回はそのセンターラインの軸になる捕手は甲斐に加えて森友哉(西武)と中村悠平(ヤクルト)の3捕手を招集。日本ハムとの第1戦で先発マスクを被ったのは森だった。
もちろん魅力はバッティング。“打てる捕手”という点では、長打力も含めて現在の12球団で随一の存在であることは周知の事実だろう。
札幌ドームで11月9、10日に行われる豪州との強化試合で先発することになるのが中村だ。
中村の魅力は攻守のバランス。セ・リーグを制覇したヤクルトでは主にホセ・オスナ内野手とドミンゴ・サンタナ外野手の両外国人選手の間となる6番を打ち、右打ちも含めた繋ぎのバッティングはもちろん、ときには思い切って引っ張って勝負を決めにいくこともできる。マスクを被っても日本シリーズで見せた大胆に内角をつけるリードにキャッチング技術も高い。
他の2人にはない国際試合の経験
そして甲斐である。
もちろん甲斐は強肩と素早い身のこなしを含めた高いキャッチング技術が売り物となる。ただ、そこに加えて他の2人にはない国際試合での経験という大きな武器がある。
「キャッチャーにまず求めるのは、ピッチャーの球をしっかり受けてくれることですよ。バッティングなんてやってみなければ分からない。それより投手の投げたボールをきちっと受け止めてくれるキャッチャーがこういう一発勝負の国際大会では大事なんです」
こう語っていたのは前回の第4回大会で侍ジャパンの投手コーチを務めた権藤博さんだった。
特に代表の試合は、普段受けない他チームの投手の球を受ける。もちろん投手ごとに変化球の変化の仕方や、内外角を狙った時の微妙な癖などを頭に入れなければならない。そのために代表チームは事前に合宿を行い、捕手陣は何度もブルペンで投手の球を受ける。
ただ、そのブルペンと実戦では、指の力のかかり具合などから微妙に変化の仕方が変わることもある。
だから主戦捕手はできるだけ1人に決めたい。