巨人の小林誠司捕手である。

　肩の強さは相変わらず健在だし、フットワークを含めたキャッチング技術の高さは読者もご存じのとおりで、守り重視の第3捕手ということでは打ってつけの人材だ。

2017年のWBCで侍ジャパン捕手として活躍した小林誠司　©︎AFLO

　しかも忘れてもらっては困るのは、前回の第4回大会で侍ジャパンの主戦捕手を務めたのは小林だったということだ。そういう意味では国際大会での経験も十分にあり、何よりことWBCに限って見れば、この４人の捕手では小林しか経験者はいない。しかもこの時は打率4割5分で1本塁打を含む6打点とバットでも活躍してみせた。「自分も相手を知らないが、相手も自分を知らない」という国際大会の中で、まさに捕手力が生きた結果だったのかもしれない。

小林は守備だけでなく、打撃でも存在感を発揮した　©︎AFLO

想像できないことに対処するために

　そういう点では決して第3捕手としてだけではなく、いざというときにはチームの要を任せられる。

「（捕手は）非常に重要なポジションなので、そこは本当に丁寧に考えていかなければならないところ。捕手に関しては一緒にやってみないと分からないところがあるので、そこのところだけを考えると、もう少し試合数が欲しかったなというのはあります」

　栗山監督もこう苦悩するが、代表選考、特に捕手の人選の難しさがそこにある。

侍ジャパンの栗山監督。メジャーリーガーも含めた日本代表の豊富な人材をどう生かしていくか　©︎Kiichi Matsumoto

　ただ「想像できないことが起きるのが国際試合」という言葉がある。その想像できないことに対処していくためには、場数を踏んだ選手たちが必ずチームにとって貴重な存在となるはずだ。

　投手だけではなく、チームにとっても捕手への信頼感が、3大会ぶりの世界一奪回へのカギとなりそうだ。