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9年前は60発バレンティンや二冠王ブランコ、李大浩らが活躍→今季は“村上宗隆の足元にも及ばず”…「超強打な外国人」激減のワケ 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byNanae Suzuki/Hideki Sugiyama

posted2022/09/06 11:00

9年前は60発バレンティンや二冠王ブランコ、李大浩らが活躍→今季は“村上宗隆の足元にも及ばず”…「超強打な外国人」激減のワケ<Number Web> photograph by Nanae Suzuki/Hideki Sugiyama

2013年のバレンティンと、2022年のポランコ。メジャーでの実績はポランコに軍配が上がるが……。

 2013年は楽天が初優勝したシーズン。打線ではケーシー・マギー、アンドリュー・ジョーンズとMLBでも活躍した大物外国人が、勝負強い打撃で勝利に貢献した。日本ハムのミチェル・アブレイユは本塁打王に輝き、西武のエステバン・ヘルマンは打率3位に加え、リーグ2位の40盗塁。オリックスの李大浩はKBO(韓国プロ野球)の三冠王を引っ提げ日本でも活躍した。

 しかし2022年、規定打席に到達している外国人選手は2人だけ。本塁打はともに15本、打率も低い。

 NPBで外国人選手が打撃タイトルを取ったのは、セが2019年、DeNAのネフタリ・ソトの本塁打王(43本)、打点王(108打点)が最後。パは2017年、ソフトバンクのアルフレド・デスパイネの本塁打王(35本)、打点王(103打点)が最後である。なお首位打者は2018年の中日ビシエド(.348)である。

なぜ、外国人打者が活躍しなくなったのか

 なぜ、外国人打者が活躍しなくなったのか?

 実績がある選手が来日しなくなったわけではない。巨人のポランコはパイレーツの主軸を打ち、規定打席に3回達している。2017年WBCでは外野手のベストナインに輝いている。ソフトバンクのフレディ・ガルビスは2017、2018年とMLBで全試合出場し、フィリーズ、パドレス、ブルージェイズなどで活躍した。

 筆者は春先のオープン戦でガルビスのアグレッシブな三塁守備を見て、メジャーの一線級はすごいと思った。また和歌山で開催されたファームの試合では満塁本塁打も見たが、一軍では打率1割台にあえいでいる。

 外国人選手が活躍しないのは、NPBとMLBの実力差がなくなってきたから、という見方もあるが、そうではないだろう。2020年にMLBに挑戦した秋山翔吾、筒香嘉智という2人の強打者は、MLBでは厳しい成績である。長打がほとんどなくなり、打率も急落しているからだ。

 おそらくは、ここ数年の間にNPBとMLBの野球、とりわけ打撃が「別物」になったのではないか。

 MLBでは「フライボール革命」が猛威を振るい、中軸ではなくてもほとんどの打者がホームランを狙い「バレルゾーン」でバットを振り回すようになった。犠牲バントは10年前の2012年には4860試合で1479個あった。しかし今年は4008試合で310と激減している。野球の質が大きく変わって「中距離打者」「巧打者」などの概念が消えつつある印象だ。

 近年、NPBにやってくる打者も「フライボール革命」の影響を強く受け、NPBの細かな野球に対応するのが難しくなっているのだろう。さらにコロナ禍で日米の交流が難しくなったことも背景にあるかもしれない。

対照的に救援で活躍する外国人投手が増えている

 対照的に投手、特に救援で活躍する外国人選手が増えている。

【次ページ】 ギャップを易々と乗り越える大谷の力量たるや

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