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9年前は60発バレンティンや二冠王ブランコ、李大浩らが活躍→今季は“村上宗隆の足元にも及ばず”…「超強打な外国人」激減のワケ
posted2022/09/06 11:00
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Nanae Suzuki/Hideki Sugiyama
筆者は毎年50試合くらいNPBの公式戦を見ているが、最近、なんとなく「物足りない」気がしている。何なのだろう? と思っていたのだが――ようやく気が付いた。最近のNPB各球団の打線から「外国人打者」が消えつつあるのだ。
9月4日の試合でも、日本ハム、楽天、オリックス、ロッテのスタメンには外国人選手はいなかった。また外国人のスタメンがいるチームでも「中軸」を打つ例は減っている。
プロ野球と言えばスタメンの中央付近に「カタカナ名前」が並ぶものだという先入観があった。日本人よりもはるかに大きく、腕っぷしも強い外国人打者が、中軸でぶんぶん振り回しているのが「プロ野球」というイメージがあったから、昨今の打線を見ると少々もの悲しさを覚える。
2013年と2022年、規定打席到達した外国人の成績比較
成績を見ても最近、外国人打者は活躍していない。9年前、2013年のNPBでは外国人打者が大活躍していた。当時と今年の規定打席以上の外国人打者を比べてみよう。
★セ・リーグ★
〈2013年〉
ブランコ(De)134試483打161安41本136点 率.333(1位)
バレンティン(ヤ)130試439打145安60本131点 率.330(2位)
マートン(神)143試566打178安19本85点 率.314(4位)
ロペス(巨)121試429打130安18本55点 率.303(5位)
クラーク(中)132試407打97安25本70点 率.238(21位)
〈2022年〉
ビシエド(中)108試401打114安12本50点 率.284(9位)
マクブルーム(広)112試401打109安15本61点 率.272(14位)
オスナ(ヤ)116試424打115安16本62点 率.271(15位)
ポランコ(巨)122試387打93安19本49点 率.240(27位)
2013年は、ヤクルトのウラディミール・バレンティンがNPB記録の60本塁打、DeNAのトニ・ブランコが首位打者・打点の二冠王、阪神のマット・マートンと巨人のホセ・ロペスも規定打席に達し、打率3割に乗せた。
一方で2022年は、本塁打は巨人グレゴリー・ポランコの19本が最多。打点はヤクルトのホセ・オスナの62打点、3割打者はいない。打率.341、51本、125点のヤクルト村上宗隆の足元にも及ばない。
NPBで打撃タイトルを獲った最後の外国人選手は誰?
★パ・リーグ★
〈2013年〉
ヘルマン(西)144試518打165安4本55点 率.319(3位)
李大浩(オ)141試521打158安24本91点 率.303(9位)
マギー(楽)144試513打150安28本93点 率.292(12位)
バルディリス(オ)142試512打148安17本91点 率.289(13位)
アブレイユ(日)138試504打143安31本95点 率.284(17位)
ジョーンズ(楽)143試478打116安26本94点 率.243(31位)
〈2022年〉
オグレディ(西)110試370打82安15本46点 率.222(19位)
レアード(ロ)103試351打68安15本48点 率.194(23位)