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酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「イチローはそれを上回る努力」「夜中1、2時にカーンと」64歳名伯楽が語る“10代の鈴木一朗”と独立Lドラフト候補に感じる差とは
posted2022/09/05 11:01
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kou Hiroo/Koji Asakura
弓岡はオリックスに入団した若き日の田口とイチロー(※入団当時の表記は「鈴木一朗」)について、このように振り返る。
「田口はショートで入ってきて、守備範囲は日本一と言っていいほど広かったけど、スローイングが悪くてね。2年目から外野に転向したんです。
イチローは1年目、2年目とファームで首位打者です。でも一軍と二軍を行ったり来たりしている。調子が良くて昇格したらボール球に手を出して“もう1回二軍行ってこい”というのが2回ぐらいあって。イチローはコーチに向かって“なんで僕が落ちるんですか、もっと悪い人いるじゃないですか”って言いました。気の強い奴おるなあと思って、それで彼に注目するようになった。
イチローが入った2年目のオフに、ハワイでウィンターリーグがありました。僕は1か月くらい行きましたが、イチローが打ちまくって、それを聞きつけて翌年から監督に就任される仰木彬さんが視察に来られたんですが、イチローはハワイでは有名になって、現地テレビのコマーシャルにも出ていましたね」
イチローのすごかった「練習量」と「聞く耳」
イチローは何がすごかったと思うか? という問いに弓岡は即座に答えた。
「練習量ですね。当時、寮に居ましたが、ナイターが終わって夜中1時か2時ころまでカーン、カーンと打っている選手がいるんですよ。“ファームでも熱心な選手がおるなあ”と思ってひょっと見たらイチローやった。これではファームの選手と差がつくばっかりやなあと思いました。オフでも腹筋のトレーニングなら3000回くらいやりますからね、あいつは努力の人間なんですよ」
同時にイチローはアドバイスを聞く耳も持っていた。