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鹿島・鬼木達の“表情が変わった”ある質問「厳しい言い方をすれば…」古巣・川崎Fに“意外な本音”「(ACLEは)勝たないといけなかった」国立決戦ウラ側
posted2025/05/13 11:07

古巣・川崎フロンターレとの対戦で激しいアクションを見せる鹿島アントラーズの鬼木達監督。5月11日、国立競技場
text by

いしかわごうGo Ishikawa
photograph by
Masashi Hara
Jリーグ首位か、ACLEファイナリストか。
対決の舞台となる国立競技場には、改修後のJ1最多入場者数となる5万9574人が集結していた。選手入場時には、アウェイである川崎フロンターレサポーターがコレオグラフィーを作り上げるなど、カップ戦ファイナルのような緊張感の漂う一戦だった。
試合前、ある人物の名前がアナウンスされたとき、スタジアム全体から温かい拍手が注がれる。
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鬼木達。
その人に向けられたものだ。
その瞬間は、ホーム、アウェイを超えて国立競技場が一体感に包まれた。監督として現在の鹿島アントラーズで積み上げているもの、そして去年までの川崎フロンターレの8年間で築き上げてきたもの。その両方を雄弁に物語る、大きな拍手だった。
「試合が終われば、やはりいろいろな思いが…」
ゲームは川崎が主導権を握る展開で進んだ。
立ち上がりの7分、佐々木旭がCKから頭で決めて、川崎が先制。その後も、ACLEで培った守備強度を基準に、球際の攻防で川崎の選手たちが鮮やかにボールを奪っていった。パス回しで鹿島を翻弄しながら、攻撃陣がカウンターで躍動していく。いつ追加点が生まれてもおかしくない決定機を何度も作っていた。
ところが、チャンスを仕留めきれずにいると前半終了間際に同点となり、ゲームは振り出しに。一進一退の攻防が続いていた後半には、一瞬の隙から田川亨介が抜け出して逆転。そのまま逃げ切った首位・鹿島が、リーグ6連勝を飾った。
試合後の監督会見。
川崎の長谷部茂利監督は「追加点を取れない中で追いつかれてしまった。それがゲームの流れを鹿島さんに渡してしまった」と悔やんだ。そして「流れを相手に渡さずに追加点を奪うという強いチームにあるべき時間の使い方、追加点の取り方で、力の足りなさがあったと思います」と試合運びの課題を口にしている。
一方、逆転勝利で終えた鬼木監督。
8年間率いた古巣との初対戦を終え、「試合中はいつもと変わらないですね。勝つことだけを求めてやっていました」としながらも、「試合が終われば、やはりいろいろな思いがあります」と述べた。
その後も形を変えながら同様の質問を受けたが、「鹿島の一員として優勝するためにここに来ているので。そこを主として考えながらいくのが自分のスタイルだと思っています」と、古巣に対する思いは多くを語らなかった。
それでも、鬼木監督にどうしても尋ねておきたいことがあった。