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東大野球部は大阪桐蔭・根尾昂を誘っていた「彼が本気で勉強すれば、東大合格していた」東大の“新スカウト戦略”で甲子園経験者が増加中 

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沼澤典史

沼澤典史Norifumi Numazawa

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photograph bySankei Shimbun

posted2022/08/22 17:02

東大野球部は大阪桐蔭・根尾昂を誘っていた「彼が本気で勉強すれば、東大合格していた」東大の“新スカウト戦略”で甲子園経験者が増加中<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

大阪桐蔭から2018年ドラフト1位で中日入りした根尾昂。中学時代の成績はオール5、その文武両道ぶりに東大野球部も早くから注目していたという

「その恐れはまったくありません。強豪校の血や伝統、雰囲気が混ざることで、チームの選手全体の成長スピードが上がります。例えば大阪桐蔭が毎年強いのは、先輩のようになれば優勝できると後輩がわかっており、練習のときに先輩の真似をするからです。上達するための身近なお手本がチーム内に多ければ多いほど、全体のレベルは上がっていく。そのためにも、是が非でも東大野球部に甲子園経験者や強豪校出身者が欲しい。特に彼らは、ギリギリの勝負を経験しているため、接戦での強さがあるんですよ」

 というのも、東大野球部は接戦で逆転を許したり、引き分けに終わったりするケースが多々ある。今春のリーグ戦にて、早稲田大との対戦で2つの引き分けを演じ、第4戦までもつれこんだ末に勝ち点を奪われた姿は象徴的だろう。

「勝てそうだったのに負けるような試合は、勝負の経験値の差によるものです。それが足らないからこそ、追い詰められて緊張する場面でふだんと同じ動きができず、丁寧にやろうとしすぎてエラーや凡打をしてしまう。そのような場面を切り抜けてきた選手や、そういう試合を高校で経験した選手が入れば、チームの雰囲気も変わります。前編の記事では、東大と他大学との戦力差は1対20だと言いましたが、ヒットを20本打たれてもホームを踏ませず、逆にタイムリーヒット1本を打ち返せば勝てるのが野球の面白さです。ピンチをしのいで、土壇場で1本打てるようなチームにしないと東大は勝てません」

 たしかに、これまでのスカウト活動によって東大の戦力は着実に向上している。だが、浜田の思いとは裏腹に、目標にはまだ道半ばだ。

「僕が死ぬまでに、東大野球部にはなんとか優勝してほしい。そのためには、六大学の平均レベルを超える選手が3人は必要です。野球は、3人で得点できるし、守るほうも3人でアウトが完結するような仕組みになっているからです。そんな3人を集めることは、なかなかしんどいことだとはわかっていますけど……」

 東大野球部の初優勝という史上最大のジャイアントキリングのためには、東大で野球を続けることの価値と魅力を、さらに高校球児に浸透させる努力が必要だろう。第二、第三の根尾昂が、プロ入りではなく東大受験を選ぶ日を、楽しみに待ちたい。

<前編から続く>

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「慶応は…本当に嫌いですね」東大野球部のスカウトが語る“スポーツ推薦も内部進学もない”東大の努力「夏休みは高校球児に勉強合宿で口説く」

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