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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「まとめるレースよりもチャレンジを」なぜ東京マラソンで有力ランナーたちは“果敢な挑戦”を選んだのか? テレビに映らなかった「本当の収穫」
posted2025/03/04 06:01

九電工の赤崎暁(左)や青学大の太田蒼生(中)、Kaoの池田耀平など有力ランナーは好結果ならずも、その果敢なチャレンジに収穫を口にした
text by

和田悟志Satoshi Wada
photograph by
Yuki Suenaga
東京マラソンでファンに鮮烈な印象を残した青学大4年の太田蒼生。
実は太田は、すでにマラソンで好走していた若林宏樹(4年)や黒田朝日(3年)ら他の青学勢とは異なり、2月初頭の退寮後は原晋監督主導のトレーニングは受けていない。
東京マラソン前のイベントでは原監督も「練習メニューは聞いていますが、通信教育で勝てるほどマラソンは甘くありません」(スポーツ報知)と厳しい言葉も発していたという。
積極的な挑戦は「五輪で金メダルを獲るため」
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単独でトレーニングしてきた太田は、フィニッシュまで辿り着くことができなかった。そのチャレンジは“無謀”と映ったかもしれない。だが、初マラソンで洗礼を受けても、太田には悔いはない。
「今回のレースは低体温と低血糖により途中で離脱してしまいましたが、前半から自分のやりたいようにレースを運び、世界のレベルを知れて良い経験ができました。オリンピックで金メダルを獲るために一歩踏み出せたと思います。次はもっと長く世界と戦い、3年後にはオリンピックで勝ちます」
主催者を通じてこのようなコメントを残した。そうなのだ。太田の視線の先には、今秋の東京世界選手権ではなく、2028年のロサンゼルス五輪があった。しかも、金メダル獲得が太田の目指すところなのだ。
《僕は僕のやりたいように走った。失敗の連続なんて当たり前だ。これからも僕は世界と戦う。次はもっと長く世界と戦う。そして3年後は五輪で勝つ。》
レース後、太田はXに投稿しこう記した。
奇しくも、2時間3分23秒で今回のレースを制したタデセ・タケレ(エチオピア)は、太田と同じ2002年生まれの22歳。ロサンゼルス五輪では太田に立ちはだかる可能性は十分ある。太田のマラソン人生はこれがスタート。次のレースにこそ期待したい。