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「慶応は…本当に嫌いですね」東大野球部のスカウトが語る“スポーツ推薦も内部進学もない”東大の努力「夏休みは高校球児に勉強合宿で口説く」
posted2022/08/22 17:00
text by
沼澤典史Norifumi Numazawa
photograph by
Sankei Shimbun
「東大合格当日に、湘南高校の宮台くんに会いに行った」
東大野球部は弱い弱いとよく言われるが、いったいどのくらい弱いのか。2013年から2019年まで、監督として東大野球部の指揮を執っていた浜田一志は、こう言う。
「東大と他5大学の戦力差は、おそらく20倍あるでしょう。東大を除く5大学からプロ野球のドラフトで指名されるのは、毎年10人ほど(社会人経由も含む)ですから、各大学が2人としましょう。それに対して、東大からプロ入りするのは、10年に1人、つまり1年に0.1人にすぎません。この人数の差が大学の戦力の差を表していると考えると、基準としてわかりやすい」
東京ヤクルトスワローズの宮台康平(2018年卒部・湘南)は、今年7月に一軍のマウンドに上がって話題を呼んだが、それも東大出身のプロ野球選手が超希少だからこそ。宮台の前の該当者となると、横浜ベイスターズにドラフト9位で入団した、松家卓弘(2005年卒部・高松)までさかのぼらねばならない。
だが、松家から13年ぶりとなるプロ級の選手を、じつは東大はただ待っていたわけではなかった。
「宮台くんは、中学生の頃から話題になっていた左腕の好投手。文武両道で知られる湘南高校に進学したと聞いて、同校野球部の川村靖監督に電話で問い合わせたところ、学業成績も優秀とのこと。将来は東大野球部に来てくれると期待していました。2014年の東大の合格発表日には、湘南高校に宮台くんを訪ね、東大野球部の入部届にサインをしてもらいましたよ」
灘や開成などの超進学校は“スカウト対象外”
有望な選手に早くから目をつけ、在籍する高校の指導者を通じて東大野球部への入部をプッシュするのは、まさにスカウトである。浜田は2006年からこの活動に関わり始め、監督在任中も含め、現在に至るまでも精力的に取り組んでいるという。