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「大谷翔平の打球はまったく見えなかった」帝京前監督・前田三夫が衝撃を受けた3人の甲子園スター「東京からはああいった選手は出てこないだろうな」
text by

前田三夫Mitsuo Maeda
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2022/08/20 17:01

帝京の監督として約50年にわたり高校野球を見てきた前田三夫。名将が忘れられない名選手は大谷の他にも…?
その後、松本剛のタイムリーで逆転
その後、大谷選手は4回途中からマウンドに上がったのですが、2年生とは思えないほどのスライダーのキレ具合に、帝京打線も打ちあぐねてしまいました。試合は乱打戦となり、7対7の同点から7回表に4番を打っていた松本剛(現・日本ハム)のライト前のタイムリーヒットで逆転。結局、その1点が決勝点となり、8対7でどうにか逃げ切ったのです。
試合後は勝てた喜びと安心感がありましたが、同時に大谷選手の行く末にも注目したいと思っていました。翌年夏の岩手予選の準決勝で高校生最速となる160キロをマークし、その年に日本ハムからドラフト1位指名されて入団。その後の活躍は皆さんもご存じの通りです。
東京からはああいった選手は出てこないだろうな
大谷選手の素材の高さと無限大に広がる伸びしろに大きな魅力を感じていた一方「東京からはああいった選手は出てこないだろうな」という感情も同時に湧き起こりました。東京の場合は、ストレートのスピードや変化球のキレやコントロールなどの完成度が高くなければ勝ち抜くことができないので、未完成で荒削りな大谷選手のような素材の選手が育ちにくい土壌にあります。
帝京が優勝したときの投手だった吉岡や三澤以上に魅力的だった大谷選手の行く末に、これからも注目していきたいと思います。
<#3へ続く>

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