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「大谷翔平の打球はまったく見えなかった」帝京前監督・前田三夫が衝撃を受けた3人の甲子園スター「東京からはああいった選手は出てこないだろうな」 

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前田三夫

前田三夫Mitsuo Maeda

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2022/08/20 17:01

「大谷翔平の打球はまったく見えなかった」帝京前監督・前田三夫が衝撃を受けた3人の甲子園スター「東京からはああいった選手は出てこないだろうな」<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

帝京の監督として約50年にわたり高校野球を見てきた前田三夫。名将が忘れられない名選手は大谷の他にも…?

 オリンピックに出場する一流のマラソンランナーの走りを見ていると、一歩の幅(ストライド)が一般の人よりもはるかに大きいことがわかります。これは全身の筋肉を効率よく使えているからであって、足の筋肉だけを使って地面を蹴り続けているわけではないのです。けれども一流のマラソンランナーのマネをして、歩幅を広く走ろうとすると、上下動が激しくなってしまい、体への負担が大きくなってしまいます。結果、頭の位置が大きくブレて体への負担が増大してしまうのです。

松坂選手の「走る」姿勢が段違いによかった

  その点で言えば、当時の松坂選手の走りを見たときにまったく頭がブレていなかったのです。上下動することなく「スー」とスムーズに足が動いていました。

 彼が高校時代から剛速球を投げられた背景には、ランニングに見てとれるように、ムダな動きをすべて排除し、効率よく体が使えたことも一因であると考えています。

 こうした選手というのは、実際になかなかいないものです。野球のうまい選手は、野球の技術だけでなく、ランニングでの体の使い方ひとつ見ただけで、運動能力の高さを判断することができるのです。

 野球に限らず、あらゆるスポーツにおいて「走ること」は、体を鍛え込むために必須の能力と言えますが、走る姿勢をおろそかにしてしまうと、野球の技術にも影響を及ぼしてしまうということを、指導者や選手たちも知っておくといいかもしれません。

監督として見てきた中で感じた「すごかった選手」

 50年に及ぶ監督人生の中で、対戦した高校の中でも「この選手はすごかった」という選手が2人います。 1人はPL学園時代の立浪和義選手(現・中日一軍監督)、もう1人は今、メジャーで活躍している花巻東時代の大谷翔平選手(現・ロサンゼルス・エンゼルス)です。

【次ページ】 打球の行方を追えなかった花巻東・大谷翔平選手

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