Number ExBACK NUMBER
「間違いなく勝てた」「泣くな！」なぜ帝京の名将は、最後の夏で敗れた3年生に厳しい言葉を投げかけるのか
posted2022/08/20 17:02
1989年夏、1992年春、1995年夏と全国制覇を3度成し遂げた帝京前監督の前田三夫。名将は最後の夏で負けた3年生にどのような言葉をかけているのか…？
text by
前田三夫Mitsuo Maeda
photograph by
Yuji Ueno
帝京高校を率い、甲子園の舞台で通算51勝を挙げてきた前田三夫。昨年8月をもって監督を勇退した名将は、高校3年最後の夏で敗れた生徒にかけている言葉があるという。
前田氏の著書『いいところをどんどん伸ばす 帝京高校・前田流 「伸びしろ」の見つけ方・育て方』より、3年生にかける言葉に込めた思いを明かした章を紹介する（全3回の3回目／#1、#2へ）。
前田氏の著書『いいところをどんどん伸ばす 帝京高校・前田流 「伸びしろ」の見つけ方・育て方』より、3年生にかける言葉に込めた思いを明かした章を紹介する（全3回の3回目／#1、#2へ）。
3年生が負けて終わったとき、どんな言葉をかけてあげるべきか――。指導者としてはねぎらいの言葉をかけてあげるべきでしょうが、私はあえて厳しい言葉を投げかけてきました
選手の未来を見据えて、あえて叱責する
彼らには次のステージがあります。そこに向かって同じような失敗を繰り返さないようにするためにも、私はあえてこう言ってきました。
「今日の試合は残念だった。ただ、一歩違う展開を作り出していたら、間違いなく勝てたぞ。この負けを糧にして、次のステージに進むんだ。お前さんたちが同じ失敗をしないようにするためにも、オレはあえて厳しいことを言う」
このとき、泣いている選手は必ずいます。そうした選手に対しては必ず「泣くな！」と叱ります。泣いて悔しがるくらいなら、もっとやるべきことがあるだろうというのがその理由です。
大学、社会人で野球を続ける者もいる。だから…
同時に、こんなことも伝えておきます。
「今、オレが言っている言葉はきつく聞こえるかもしれない。でも今はそれでいいんだ。3年後、4年後、もっと先になってから理解してくれればそれでいいからな」
