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現役東大生が分析する“レアル・マドリーの強さの秘密”とは?「現代サッカーのトレンドを全力で否定」「いい意味で“型”がないんです」
text by
澤田将太Shota Sawada
photograph byEtsuo Hara/Getty Images
posted2022/06/29 11:02
14度目のCL優勝を飾ったレアル・マドリー。その“理不尽な強さ”の一端を東大ア式蹴球部テクニカルスタッフの木下慶悟さんが解説してくれた
レアル・マドリーの「逆説的な魅力」とは
――東大ア式の「頭を使うサッカー」について、もう少し具体的に伺えますか?
「以前は大枠のゲームモデルとしてグアルディオラのマンチェスター・シティを目指していましたが、現在はボールを大事にしつつも、より背後へのアクションを増やしたダイレクトなサッカーを志向しています。守備は前線からプレスをかけて、選手同士の距離をコンパクトに保つ。もちろん相手によって変わる部分もありますが、攻撃も守備も自分たちのゲームモデルがあります」
――マンチェスター・シティと聞くと、木下さんが好きなレアル・マドリーとは真逆の印象を受けます。誤解を恐れずに質問しますが、戦術好きなのになぜマドリディスタなのでしょうか?
「小学生のころにマドリーにハマったのですが、最初はカカやクリスティアーノ・ロナウドなどのスター選手が集まっている雰囲気に憧れていただけで、特に明確な理由はなかったんです。ただ、僕は勉強も普段の生活も合理的にやりたい性格なので、非合理的にも思えるような逆転劇を何度も起こすマドリーに逆説的な魅力を感じるんです。現代サッカーのトレンドを全力で否定してきますから(笑)。
先日のCLファイナルのリバプール戦でも、守備がある程度攻略されても『クルトワなら止めるだろ』という前提でプランを立てているような印象がありました。ある意味でタレント任せというか、カオスというか、確固たるゲームモデルを持つチームからすれば常識外れなことばかりなんですよ」
――その「カオス」の部分を解き明かしたいわけですね。
「実際、マドリーの強さを戦術的に分析している人は、日本ではあまり見かけません。信じられないような勝ち方ばかりなので、『勝者のメンタリティ』とか『伝統の力』とかフワッとした言葉で片付けられてしまいがちです。だからこそ、僕がやりたいなと思っています」