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ワインとシエスタとフットボールとBACK NUMBER
「素晴らしい勝利、素晴らしい予選突破だった」トルシエが日本代表を絶賛「森保のベンチワークも強調すべきだ」
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byKazuaki Nishiyama
posted2022/04/03 17:04
日本代表監督時代のトルシエ。当時率いた20年ほど前のチームを引き合いに出しながら、今の日本代表を称えた
――集合してすぐ試合に臨みながら、とてもコレクティブでスムーズでした。
「6カ月前に見た日本代表と今日のチームを比べると、力強さも成熟度もまったく違った。大迫、酒井ら主力の欠場があってもそうだった。チームはバランスが取れていて組織力もキャラクターも申し分なかった。森保は素晴らしい仕事をした。
誰もがこの勝利を喜んだだろう。感じられたのは見事なまでの統一感であり連帯感だった。素晴らしい勝利であり素晴らしい予選突破だった。
日本はスタートで躓いたがその後は高いレベルを維持し続け、自らの名前に相応しい結果を残した。1998年以来、ワールドカップ本大会に出場し続けている。それこそが称賛に値するパフォーマンスだ。日本サッカー全体のレベルを示している。アジアのトップ3に常に入り、今は実質的にアジア最強だ。そうしたことこそが、私は最も素晴らしい成果だと思う。アジアのトップとしての安定性と継続性を示したことが。
オーストラリアの若い選手が存在感を示した今日の試合も決して簡単ではなかったが、勝つための強固な意志と野心を日本はプレーで示した。チームのキャラクターも際立っていた。森保と彼のスタッフの仕事の結果だ。加えて選手の能力が、この試合をこれだけ価値あるものにした」
同じ戦略で臨んだ日本とオーストラリアの差異
――意志の強さとアグレッシブさにおいて、予選を通して進歩したということですね。
「戦略は確固としていた。高い位置からプレスをかけて、オーストラリアがDFからプレーを構築することを妨げる。出来るだけ素早く、出来るだけ高い位置でボールを奪う。試合開始早々から日本は得点のチャンスを2~3回作り出した。相手に自信を得る暇を与えない日本の強い意志を感じた。相手にプレーをさせない、極めてアグレッシブな戦術だった。
ただ、同じことはオーストラリアにも言えた。彼らもまた日本と同じ戦略で試合に臨んだ。日本にプレーをさせない。その結果として前半は試合が拮抗した。両チームの戦略的な意志が、アグレッシブかつ確固として実践された。そのうえボールを前に運ぼうとする強い意志も働いた。ときにそれはロングボールの形を取り、南野や伊東、浅野をターゲットにボールをなるべく早く前線に送ろうとした。それを中盤が効果的にサポートした。彼らの働きは本当に素晴らしく、両サイドバックも献身的に攻撃に加わった。野心とアグレッシブさを実現するためのすべての要因が日本には揃っていた。
その成果はもっと早く現れてもよかった。南野は何度か決定的なチャンスを迎えた。特に伊東のクロスを受けた2度目のチャンスは絶好の得点機だった」