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ワインとシエスタとフットボールとBACK NUMBER
「素晴らしい勝利、素晴らしい予選突破だった」トルシエが日本代表を絶賛「森保のベンチワークも強調すべきだ」
posted2022/04/03 17:04
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph by
Kazuaki Nishiyama
フィリップ・トルシエに電話をしたのは、日本がワールドカップ予選突破を決めた直後と、凱旋試合でありながら引き分けに終わったベトナム戦の後だった。
どちらもトルシエの声は弾んでいた。会心ともいえる内容で勝利したオーストラリア戦はともかく、メンバーを大幅に入れ替えて臨み、相手に先制を許したベトナム戦も、彼は決してネガティブには見ていなかった。ならばトルシエは、この2試合をどう評価するのか。トルシエの分析を前後2回に分けてお届けする。まずはその前編から。(全2回の1回目/#2に続く)
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――試合(オーストラリア戦)は見ましたか?
「日本の素晴らしい勝利だった。日本はゲームを良く支配し、自分たちの良さを存分に出した。プレーには勝利への強い意志と野心が感じられた。積極的にボールを前に運び、危険な状況を作り出そうとする意欲があった。アグレッシブで組織的にもよくオーガナイズされていた。順当な勝利であり、効率の良さも際立った。たしかにゴールは試合の最終盤に生まれたが、それ以前に流れの中で1~2点とっていておかしくなかった。難しい状況の中での素晴らしい勝利だった。
オーストラリアにとっては絶対に負けられない戦いで、彼らもまた素晴らしかった。60分間はとても拮抗し、意志とアグレッシブさ、野心のレベルでふたつのチームは同じ位相にあった。プレッシングもどちらも力強く、ボールを前に運ぼうとする強い意志も感じられた。ともに縦への意識が強かった」
グループのどこにも欠落はなかった
――前半はどちらもチャンスを逃しました。
「オーストラリアにも1~2回の得点チャンスがあったので、3対2か4対2で試合が終わっていてもおかしくはなかった。チャンスの数を考慮すればそうなる。
だがいずれにせよ日本の勝利が妥当であったのは間違いない。日本が受けに回る時間帯はほとんどなく、どんな場面でもゲームを支配した。守備の組織は素晴らしく、攻撃はスピーディで存在感に溢れていた。とりわけ中盤の存在感が際立ち、遠藤と田中、守田の3人は守備で力を発揮したばかりか攻撃でも多大なサポートをおこなった。チームも選手も素晴らしかった。南野も伊東も卓越していたが、そうした個人以上にグループ全体が高いレベルにあったことが素晴らしかった。どこにも欠落はなかった」