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批判を浴びた“最悪のスタート”からW杯へ… 森保ジャパンが蘇生した転換点とは? 成長力でオーストラリアの「ホーム不敗神話」も凌駕
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2022/03/25 17:05
3月24日にアウェイで行われたW杯アジア最終予選のオーストラリア戦。84分に投入された三笘薫の2ゴールが、7大会連続のW杯出場を決定づけた
追い詰められた日本を蘇生させた「4-3-3」
昨年9月にスタートした最終予選で、日本はいきなりつまずいた。それまで一度も負けたことのないオマーンに、あろうことかホームで敗れてしまった。
前回のW杯最終予選でも、ホームで行われた初戦を落としている。黒星発進のチームはすべて予選敗退に終わっているデータが影を落したが、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督のチームはロシアへたどり着くことができた。
データの呪縛を自分たちで解いていただけに、オマーンに負けていきなり追い詰められたわけではなかっただろう。しかし、10月のサウジアラビア戦も落とし、3戦目で1勝2敗となったのは紛れもない危機だった。
固定されたシステムとメンバーが結果に結びついていないとの批判が集まるなかで、サウジアラビア戦から5日後のオーストラリア戦を迎える。森保監督はシステムを4-2-3-1から4―3―3に変更し、守田を最終予選で初めて先発させ、田中碧を初めて起用した。
果たして、大胆な変更はチームを蘇生させる。ホームのオーストラリア戦から5連勝を飾り、11月のベトナム戦からは4試合連続のクリーンシートを達成し、今回のオーストラリア戦に臨んだ。そして、最終予選のホームゲームで無敗を誇ってきた相手を下し、7大会連続7回目のW杯出場を勝ち取ったのである。
それでも最終予選突破は「ゴール」ではない
最終予選のスタートとなった昨年9月のオマーン戦の先発で、オーストラリア戦にも先発出場したのはGK権田修一、吉田麻也、長友、遠藤航、伊東純也の5人にとどまる。試合のたびにケガや出場停止といったアクシデントに見舞われ、それでも4戦目以降は勝利を積み上げてきたことで、ポジションごとの序列が変わっていた。選手層は厚みを増した。
スタメンが変わっていないポジションにも、明確なバックアッパーが存在する。CBには谷口彰悟と板倉滉が、右SBには山根が、左SBには中山がいる。代役不在と見られていた大迫のポジションでも、今回のオーストラリア戦で浅野と上田が選択肢に成り得ることを示した。三笘という驚異のジョーカーも登場している。
これまでにない苦難を乗り越えてきたことで、チームの総合力は間違いなく高まった。そのうえで言えば、最終予選突破はゴールではない。「過去最高のベスト8以上の成績を残す」という目標への通過点である。
3月29日に行なわれるベトナムとの最終戦は、何かを賭けて戦う一戦ではなくなった。とはいえ、W杯本大会への強化という意味では、無駄にはできない機会である。消化試合にしていいはずはないのだ。
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