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今年も“ルーキー躍進”なる?…明治スカウティング事情は「高校駅伝優勝校の“区間賞選手”が入学予定」<強豪校の新入生ランナー>
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJIJI PRESS
posted2022/03/17 17:03
昨年末の高校駅伝をはじめ華々しい成績を残した高校生ランナーが選んだ進路とは
今春、国学大は主力の木付琳(4年)、島崎慎愛(4年)、藤木宏太(4年)、殿地琢朗(4年)らが卒業し、彼ら世代の勝負が終わった。今後は伊地知賢造(2年)、学生ハーフ優勝の平林、全日本実業団ハーフマラソンで日本人学生歴代2位の60分41秒という好記録を出した山本歩夢(1年)、鶴元太(1年)、沼井優斗(1年)、原秀寿(1年)ら箱根メンバー入りした選手たちが上級生になった時、優勝を狙えるチーム作りを今年から始めていくことになる。そのチームには新1年生の存在が非常に重要になるが、14分台一桁から10秒台、さらに都大路や主将経験者など将来性たっぷりな選手が順調に成長していけば、また数年後には高いレベルを維持し、優勝を争えるチームに前田康弘監督は仕上げてくるだろう。
帝京大)箱根往路2位も、2大エースが卒業
今年の箱根駅伝で往路2位と躍進し、総合9位で5年連続シード権を獲得、常連校になりつつある帝京大。今回のスカウティングでは、14分30秒前後の伸びしろのある選手が入学予定だ。
駅伝部の主将だった柴戸遼太(大分東明・14分06秒83)は都大路では1区15位、新人戦1500mで優勝するなどスピードがあり、将来のエース候補になりえる存在。島田晃希(高田・14分25秒18)は1500mが主戦場でスピードが持ち味、森田健伸(武蔵越生・14分27秒49)も1500mがメインで西部地区大会1500mでは優勝している。その他、家入勇翔(開新・14分33秒75)、藤本雄大(北海道栄・14分42秒00)、田中陽々希(八戸光星・14分37秒84)、細谷建斗(東海大山形・14分39秒47)らが入学予定だ。
帝京大は今年、箱根駅伝往路2位という結果を出しているが、その5区間のうち残るのは1区の小野隆一郎(2年)だけで、4年連続で3区を駆けた遠藤大地(4年)、5区区間賞の細谷翔馬(4年)らエースが卒業していく。トータルで10区間中6区間が代わることになるので、ポジションを狙う選手からすればチャンスだが、その穴を埋めるのは容易ではない。2、3年生の中からエースとなりえる選手が果たして出てくるのか。そして、新1年生から即戦力として駅伝を走れる選手がどのくらい出てくるのか。「育成の帝京」の腕の見せ所である。
明大)都大路優勝校の世羅から“区間賞選手”が入学
明治大は、ここ2年、箱根駅伝で思うような結果を残せずに終わっている。来年の箱根駅伝も予選会で勝ち抜くところから始まるが、スカウティングは非常に大きな成果を得ている。
昨年、都大路を制した世羅からは、1区区間賞を取った森下翔太 (世羅・13分56秒12)が入学予定だ。昨年5月に大腿部を疲労骨折し、4カ月間レースに参戦できなかったが、その間に身体をもう一度鍛え直したことで自己ベスト更新に繋げている。ここ2年、箱根駅伝1区の出遅れが痛手になっていたが森下がその区間を担えれば面白いレース展開ができるはずだ。その他にも有力選手が揃う。
4区3位の吉川響(世羅・14分10秒88)、堀颯介(仙台育英・13分58秒00)、高橋海童(仙台育英・14分03秒35)、3区38位の古井康介(浜松日体・14分22秒72)、4区20位の室田安寿(宮崎日大・14分33秒10)、井坂佳亮(水城・14分09秒59)、山本樹(専大松戸・14分10秒75)、尾ノ上一(鹿児島商業・14分39秒52)に加え、窪田悠人(沼津東・14分37秒22)らが入学予定だ。