箱根駅伝は14位に終わったが、7名が箱根経験者として残っている。中軸は、4区7位の小澤大輝、5区18位の下條乃將、6区12位の杉本龍陽、7区2位の富田峻平、8区11位の櫛田佳希、9区11位の加藤大誠ら3年生だ。そこに昨年の箱根予選会でチーム内3位に入った児玉真輝（2年）、全日本で5区を駆けた尾崎健斗（1年）、同じ1年の甲斐涼介、新谷紘ノ介らポテンシャルのある選手が伸びてくると選手層は相当に分厚くなる。新1年生に期待せずとも新2年生以上でも予選会は突破できるメンバーが揃うが、能力の高さを考えると新入生が予選会にも数名が入ってきそうだ。充実した戦力を保持することになるが、その力を本番で発揮できるかどうか。

神大）13分台はなし…それでも「伸び代」を重視した

　 神奈川大は13分台の選手はいないが、伸び代と育成しがいのある選手のスカウティングに成功している。

　宮本陽叶（洛南・14分06秒75）は、都大路4区で優勝した世羅を一時逆転し、区間賞の走りを見せた。近畿高校駅伝では3区1位、京都府高校駅伝では4区1位と駅伝にめっぽう強く、腰高のきれいなフォームが今後の大きな成長を感じさせる。また神大進学者が多い鳥栖工業からは3区22位の山田基貴 （鳥栖工業・14分17秒53）が入学予定。持久力があり、ロードに強いタイプだ。チームにもすぐに馴染んで力を発揮するだろう。その他、中学までサッカーでその後に陸上に転向している高潮瑛 （千原台・14分15秒88）は、昨年の金栗記念選抜中長距離高校5000mで見事優勝を果たした異色の経歴を持つ。

　神奈川大は、大後栄治監督の指導による選手の育成強化のシステムが整っており、2、3年生ぐらいからグンと伸びてくる傾向がある。今年の箱根駅伝メンバーから2区13位の西方大珠（4年）、6区15位の横澤清己（4年）、7区12位の川口慧（4年）に加え、エースの呑村大樹（4年）、落合葵斗（4年）が卒業する。1区11位の巻田理空（2年）ら2年生の人材は豊富なのでチームの軸になっていくが、期待されるのが園田勢（1年）、中原優人（1年）らの1年生だろう。新2年生になる彼らが成長できれば、新入生もポテンシャルを伸ばして、箱根予選会のトップ通過、そして本大会でシード権も見えてくるはず。

今回の箱根駅伝を総合12位で終えた神大。次は予選会から勝ち抜く必要がある　©Nanae Suzuki

2022年度も「ルーキー大活躍の年」になるか

　第98回箱根駅伝は、青学大の太田蒼生、若林宏樹、国学大の山本歩夢、平林清澄、早稲田大の石塚陽士、伊藤大志、東海大の吉田響、越陽汰など、各校のルーキーたちが素晴らしい走りを見せて、レースを盛り上げた。今シーズンは果たしてどんな選手が駅伝のレースシーンに登場してくるのか。まずは春のトラックシーズンから注目していきたい。