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館山昌平がヤクルト時代の先輩・岩村明憲に“逆オファー”してまで「福島」にやってきた理由…“投手強化”だけじゃない東北への想い 

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市川忍

市川忍Shinobu Ichikawa

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photograph byFUKUSHIMA RED HOPES

posted2022/03/12 11:00

館山昌平がヤクルト時代の先輩・岩村明憲に“逆オファー”してまで「福島」にやってきた理由…“投手強化”だけじゃない東北への想い<Number Web> photograph by FUKUSHIMA RED HOPES

3月11日、黙とうを捧げる福島レッドホープスの館山投手チーフコーチ

 近年はNPBのチーム、選手でも上記の機材、ソフトウエアを利用して練習、強化する機会が増えている。

 ただし、導入はもとより、集めた数値のどこに注目し、どうやって生かすかという部分においては、まだまだ発展の余地がある。特に分析したデータを、選手のためにわかりやすく、的確に、一人ひとり性格も身体能力も違う選手に伝えるには、伝える側のデータへの理解度が求められる。

「もちろん東北楽天のコーチ時代にそれができなかったというわけじゃないんです。ただ、組織の中にはいろいろな年代の人がいて、選手も18歳から37歳まで幅広く在籍していました。まずは球団の方針があり、それに沿って強化をするのは当然のことだと自分も思います」

 しかし独立リーグに関わる人は、考え方がシンプルだと館山は言う。若い選手が多く、直近の1年、2年で結果を出さなければNPBへの道は狭まる。中にはこの場をNPB入りへの最後のチャンスだととらえている選手もいる。監督、コーチ陣もそういった事情を理解しているために、切実な人を後押ししたいという思いが強い。

 2月25日には公式ツイッターアカウントを通じて、レッドホープスがラプソードを導入したことが発表された。館山は続ける。

「これまでのスピードガンの数字、ストップウォッチの数字だけじゃなく、いろいろな角度から、その選手のエラーを減らすというのが、今後の指導方法のスタンダードになるんじゃないかと自分は思っています」

データをNPBスカウトに共有する

 同時に、データを利用したもう1つの可能性も館山は見出している。

「コロナ禍でNPBのスカウトもなかなか見に来られないですよね。ラプソードを使って出したデータをスカウトの方に共有できたらいいなと考えています。ここ数年の、NPBに在籍する選手のデータは書籍になって出ているのですが、そういったデータと照らし合わせて、『うちのこの投手はNPBではどの投手に近いのか』など、数字を使って客観的に判断、評価することができます」

 他チームと区別化を図り、選手の価値を高めることもできると考えている。

【次ページ】 館山が担う“もう1つの役割”

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