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館山昌平がヤクルト時代の先輩・岩村明憲に“逆オファー”してまで「福島」にやってきた理由…“投手強化”だけじゃない東北への想い
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byFUKUSHIMA RED HOPES
posted2022/03/12 11:00
3月11日、黙とうを捧げる福島レッドホープスの館山投手チーフコーチ
ルートインBCリーグに属するレッドホープスへの入団を申し出たのは、意外なことに館山のほうからだったという。
「もともと岩村明憲さんがオーナー兼監督をしていることもあって、たびたび岩村さんとは個人的に野球の話をしていたんです。“投手力を何とかしたいんだ”というチーム事情については聞いたことがありました。そこで楽天との契約が終わった直後、岩村さんに『ぜひ投手コーチとして雇ってください』とお願いしたんです。逆オファーですね(笑)」
ヤクルトで17年の現役生活を終え、その後、東北楽天で2年間、投手コーチを務めた。現役時代に85勝を挙げ、知名度も十分だった館山が、なぜ独立リーグの、しかも福島入りを自ら願ったのか。
「東北楽天でコーチをしているときに、もっと投手に特化したトレーニングを学びたい、データを使った分析なども取り入れてみたいと、チャレンジしたい出来事がどんどん増えていったんです」
同時に、岩村監督から福島復興への思いを聞くうちに、自身が見た東北の風景がよみがえってきた。おこがましいかもしれないが、と前置きをした上で「何か、野球を通じて自分が福島、東北の力になれることがあるんじゃないかと思った」と振り返る。
投手陣強化が課題だったレッドホープス
レッドホープスは昨年度まで、打線の爆発で大量得点を挙げても、その差をひっくり返され敗れるという試合が多かった。ピッチャーの防御率も課題だろう。
「最近はトラックマン、ラプソード、ホークアイ、デルタなどいろいろな手段を使った分析方法がありますが、それをどうにかして強化に生かせないかと岩村監督は考えていました。機械で計測して、それをもとに投手の能力を見る。そういったコーチングを導入したら、どれだけ選手の力が上がるのかと興味を抱いているところだったようです。データの見方、指導へ取り入れることに関しては、自分には自信があったので、『できます』と岩村監督に伝えました」