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「美しさもスペクタクルもない、リアリズムの勝利だ」トルシエが中国戦に見た“日本の自力突破”の可能性と大一番サウジ戦の課題 

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2022/01/31 17:00

「美しさもスペクタクルもない、リアリズムの勝利だ」トルシエが中国戦に見た“日本の自力突破”の可能性と大一番サウジ戦の課題<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

中国のクラブでも監督経験を持つトルシエ。直接指導した選手もいたが、中国とのレベルの違いは明らかだと言い切った

――ただ、次のサウジアラビア戦はより重要で難しい試合ではありませんか?

「ホームにサウジアラビアを迎えるアドバンテージはもちろんある。首位決戦をホームで戦える。しかし忘れてならないのは、目標はあくまでも予選突破であることだ。そのためにはグループで上位2チームに入ればいい。だから負けてはならない。敗北は絶対に避ける。もちろん勝つに越したことはないが、首位に迫ることが重要なのではない。勝ってサウジとの差を勝ち点1に詰めることよりも、敗れて2位から滑り落ちないことの方が重要だ。だから勝つことがあくまでも目標であっても、引き分けや敗れた場合も日本には可能性が残される。サウジ戦の後にはオーストラリア戦があるのだろう?」

自力突破の可能性

――そうですがアウェーゲームです。

「しかし数字の上では、日本には自力で突破の可能性が残っている。そこが肝心だ。

 サウジに勝てば、日本の直接突破の可能性が一気に高まる。サウジから勝ち点3をあげれば、ほぼ間違いなく本大会に行けるだろう。日本とオーストラリアの勝ち点差はどうなっているのか。日本の方が、試合数が少ないのではないのか?」

――いえ、試合数は同じです。

「日本は今日、勝ったから勝ち点15だろう」

――ただオーストラリアも勝ったので勝ち点14で、差はわずか1のままです。

「だからこれからの2試合がとても重要で……。オーストラリアの次の対戦相手は?」

――アウェーのオマーン戦です。日本がサウジに勝ち、オーストラリアがオマーンに勝てば、サウジ、日本、オーストラリアは勝ち点1差で1~3位に並びます。

「だがオマーンにも、僅かだが3位に入る可能性が残されている。だから日本はサウジ戦に敗れてはならないのは確かで、もの凄く重要な試合だ。しかしホームのアドバンテージがある。日本は持てる力を存分に発揮するだろう」

――エルベ・ルナール(ザンビア代表とコートジボワール代表を率いてアフリカ・ネーションズカップを2度制覇)に率いられたサウジは素晴らしいチームです。

「その通りだ。試合は火曜日か?」

――ええ、今日と同じ埼玉スタジアムです。試合後にまた電話します。

「これで十分か?」

――メルシー、フィリップ。

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