Jをめぐる冒険BACK NUMBER
日本代表の《ポジティブな3要素》は谷口彰悟・板倉滉のビルドアップと… “中国相手の2-0”を試運転に大一番サウジ戦へ挑め
posted2022/01/28 11:33
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Takuya Sugiyama/JMPA
とにかくミスが多くて、覇気がない。いったいどうしてしまったのだろう――。
そんなふうに相手チームを気にかける余裕が生まれたのは、アジア最終予選7試合目にして初めてのことだ。
対戦相手の中国はこの試合に敗れればW杯に自動で出場できる2位以内の可能性が消滅する。しかもリー・シャオペン新監督の初陣であり、50人以上の選手を招集して合宿を張ってきたのだから、日本戦に懸けていたのは確かだろう。
必勝体制を組んだ中国から戦意を奪ったのは、ほかでもない日本代表だった。
即時奪回とボール保持――。
攻守両面において適切な立ち位置をとって主導権を握り続け、ワンサイドゲームで中国にサッカーをさせることなく、2-0で勝利した。
課題がある上で、積み上がった要素を見ていくと
シュート数は14対2、ボール支配率は61.4%対38.6%、コーナーキック数は11対1。数字も日本の快勝を裏付けている。
そのわりにはゴール数が少ない?
アタッキングサードにおける精度が低い?
後半途中に4-2-3-1に変更したあと機能しなかった?
だが、ちょっと待ってほしい。この試合はW杯アジア最終予選なのだ。まずは危なげなく勝ち点3をつかんだことを評価したい。
そして、手放しで喜べる試合運びでないことは、選手自身がよく分かっている。
負傷した吉田麻也に代わってキャプテンを務めた遠藤航は「内容面では納得がいっていない」と語り、13分に大迫勇也のPKで先制したあと「テンポがゆっくりになってしまった」と反省していた。
先制点につながる相手のPKを誘発し、ヘディングで2点目を奪った伊東純也は攻撃の選手らしく、追加点をなかなか奪えなかったことを悔やんだ。
「先制したあともチャンスを作れていたので、前半のうちに2点目、3点目を取れていたら、もっと楽な試合になった」
試合をすれば課題や反省材料が見つかるのは当然のこと。そのうえで、これまでの流れを踏まえて何が積み上がったのかを見ていくと……。
1)谷口・板倉のビルドアップと“適切な立ち位置”
日本に押し込まれた中国は、ブロックを組んで守備を固めてきた。こうした展開になると、得てしてボールを持たされて攻めあぐねるものだ。
ところが、この試合では縦パスがスパン、スパンと入った。
その要因のひとつが、欠場した吉田と冨安健洋に代わってセンターバックを組んだ谷口彰悟と板倉滉によるビルドアップだろう。