Sports Graphic Number MoreBACK NUMBER
長州『こいつは宇宙人か!』その瞬間、オレはドヤ顔だった…獣神サンダー・ライガーが語る「ジュニアを変えたスーパーJカップ」
text by
![高木圭介](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/b/7/-/img_b73157b555966575de12a8d9370ccfb2149469.jpg)
高木圭介Keisuke Takagi
photograph byIchisei Hiramatsu
posted2022/01/29 11:00
![長州『こいつは宇宙人か!』その瞬間、オレはドヤ顔だった…獣神サンダー・ライガーが語る「ジュニアを変えたスーパーJカップ」<Number Web> photograph by Ichisei Hiramatsu](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/0/0/700/img_00c84d1a60a8b174f8494bddbe817a09171548.jpg)
団体を垣根を取り払い、ジュニアヘビー級のジャンルを確立した獣神サンダー・ライガー(2020年撮影)
そしてライガーは準決勝で、みちのく代表のサスケと対戦。サスケに関しては千景夫人というよりは、ライガー本人の一押し選手でもあった。
「メキシコでお世話になったグラン浜田さんに挨拶しようと訪れた、ユニバーサル・プロレスの後楽園ホール大会で、素顔時代のサスケ(MASAみちのく)の試合を見た。『こいつは凄いな』と思っていて、なんとか参加させたかったんだよ」
1回戦シード、2回戦でサムライを撃破し「金星」を奪ったサスケは、変幻自在な空中殺法でライガーを惑わし、最後は一瞬のスキを突くウラカン・ラナで3カウント。この時、国技館が割れんばかりの悲鳴と大歓声に包まれる。まだ全国区ではなかったサスケの実力が満天下に示された瞬間だった。
重圧から解き放たれたライガーの涙
ADVERTISEMENT
そして、その勝利は旗揚げ2年目、日本初のローカル団体の運命をも変えた。
「サスケがトップロープから何かを狙った際に、足を滑らせてコケたんです。で、『こいつ、ダッセーな』と思って一気に反撃しようとしたら、その瞬間にパッと立ち上がって、クルリと丸め込まれて3カウント取られた。こっちは赤っ恥だよ」
決勝戦は反対ブロックで外道を下したペガサスとサスケによって争われた。敗れたジュニア戦士たちが総出でセコンドに就く中、ペガサスが雪崩式のサイドスープレックスでサスケを下し、記念すべき第1回大会の覇者となった。ライガーは試合後に控室で参加選手らに労をねぎらう挨拶をした後、涙が止まらなくなる。それは優勝を逃した悔しさではなく、大会が大成功に終わった安堵と、プロデューサーの重圧から解き放たれた涙だったという。
「大会終了後に涙が止まらないなんて初めてのことだった。よっぽどプロデューサーの重圧を感じていたんだろうね。翌年の第2回はWAR主催でウルティモ・ドラゴンがプロデューサーだったから、オレは一選手に専念できた。予告通りに優勝もできたんだけど、涙なんて出なかったもん」