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「アンチの存在も面白さ」大人になったスターライト・キッドが語るヒールの充実感と“マスクウーマンの野望”《新成人特別グラビア》

posted2022/01/28 17:04

 
「アンチの存在も面白さ」大人になったスターライト・キッドが語るヒールの充実感と“マスクウーマンの野望”《新成人特別グラビア》<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

今年の新成人であるスターライト・キッド。2021年、大江戸隊加入でヒールとして飛躍した

text by

橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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Takuya Sugiyama

 スターダム唯一の覆面レスラー、スターライト・キッドは2015年のデビュー以来“正体不明・年齢不詳”であり、同時に今年の新成人だ。本人の表現を借りると「年齢不詳の新成人」となる。

「(団体創設者のエグゼクティブ・プロデューサー)ロッシー小川が一時期、年齢を書くようになっちゃって(苦笑)。だったらいろいろ発信したほうがいいなって。ファンも喜ぶだろうし」

 一昨年の春には高校卒業をSNSで報告。昨年は着物姿の「前撮り」をアップした。完全にプライベートで撮影したものだがマスク姿の写真も撮っていた。前撮りの翌日はスターダムの正月特番の撮影でまた着物。いい記念になったし思い出が残せた。成人式当日は試合のため出席できなかったが「試合がなくても出なかったかも」と言う。

「今の忙しさだと、大会がなかったら“休みたい”が優先になるかな。忙しいのはスターダムとしてはいいこと。試合の日程が変わることもあるしイベントとかプロモーションの仕事が急に入る可能性もあるし。そうなると着物の準備も難しいから」

「アンチも来る。それならもっとヒートアップさせてやれ」

 お酒が飲めるようにはなったが好きではないし、いわゆる“大人”の実感は特にないそうだ。それを言うなら、高校を卒業してからずっと“大人のレスラー”に成長したい、結果を出したいともがいてきた。

 一つの答えになったのが、昨年6月の大江戸隊強制加入だ。それまではスターダムの“正規軍”STARSに所属。明るくて真面目な“キッちゃん”は、スターダムのアイコン・岩谷麻優のタッグパートナーというイメージも強かった。

 だがヒールユニットである大江戸隊との「敗者ユニット強制移動マッチ」に敗れてしまう。これまでとは真逆の立ち位置。どうすればいいのか戸惑ったし悩んだ。それでも振り切って選んだのが“闇堕ち”だ。マスクもコスチュームも黒にした。

「大江戸隊加入が決まった時は、SNSを見てもショックを受けてる人が多かったね。でも闇堕ちしたらしたで“これもカッコいい!”みたいな。もちろん、好き勝手やってるからアンチのコメントも来るけど。それならもっとヒートアップさせてやれって。STARSではアンチなんて出てくるはずがない“ザ・ベビーフェイス”だったけど、アンチも含めて反応があるのは面白い」

岩谷を超えたい…レスラーとしての“成人式”の瞬間

 岩谷が「キッド奪還マッチ」に勝利しても、自らSTARSに戻ることを拒否した。岩谷に憧れてスターダムに入ったのは間違いない。だからこそ岩谷を超えたい。それまでは横にいながら超えたいと思っていたが、対角で向かい合って超えようと決意したのだ。この時がレスラーとしての“成人式”だったのかもしれない。

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